36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の初公判が5日午前、京都地裁(増田啓祐裁判長)で始まった。
検察側は冒頭陳述で、青葉被告が事件を起こした動機について「京アニ大賞に小説を応募したが落選し(自身の作品を)盗用されたと一方的に恨みを抱いた。筋違いの恨みによる復讐だ」と述べた。
検察側は事件当時、青葉被告に完全責任能力があったと主張。「自己愛、他責的なパーソナリティから『京アニが悪い』と責任転嫁した。京アニ社員に連帯責任があると考えた」と指摘した。
青葉被告は、冒頭陳述に先立つ罪状認否で「私がしたことに間違いない。こんなにたくさんの人が死ぬとは思っていなかった」「事件当時はこうするしかないと思っていた」と述べた。弁護側は、被告は事件当時、善悪を判断したり行動を制御したりすることができない「心神喪失」の状態だったとし、無罪を主張した。
起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。