ウナギよ、雨降らせて 酒飲ませ滝に放つ神事で豊穣願う

滝に向けてウナギを放り投げる住民(宇治田原町湯屋谷)

 雨乞いを目的に、ウナギに酒を飲ませて滝に放つ神事「大瀧祭」が、京都府宇治田原町湯屋谷の大滝で行われた。今年の夏は雨不足で、参加した住民が五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災を願った。

 神事は江戸時代から続くとされる。伝承によると、ウナギは大滝にまつられている「大瀧大明神」の使者とされ、酒を飲ませて滝に放つと、竜となって天に昇り雨を降らせたという。

 5メートルほどの落差がある滝の近くにはほこらがあり、祝詞が読み上げられた。続いて住民3人がそれぞれ、ぬるぬるとした体表に苦労しながらウナギをつかみ、滝つぼに勢いよく放り投げた。

 今年は7、8月の総雨量が平年値を下回った。地元では「雨が少なくて困った」と話す農家が多いといい、住民は「神事をきっかけに、適度な雨が降ってくれることを期待したい」と話した。

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