彦根城の世界遺産登録向け、文化庁が「事前評価申請書」ユネスコに提出

文化庁(京都市上京区)

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指している彦根城(滋賀県彦根市)について、文化庁は5日、推薦書の本提出前に専門家の助言が受けられる「事前評価」の申請書をユネスコに提出したと発表した。評価結果を踏まえ、推薦の可否や提案内容の見直しを判断する。

 彦根城については、国の文化審議会が7月、登録に向けた課題を提示。1992年に暫定リストに登録されて長期間が過ぎたことから、ユネスコの諮問機関・イコモスとの対話を通じて「普遍的価値を明確にする必要がある」とし、事前評価制度の活用を求めていた。

 同庁と滋賀県、彦根市の三者で作成した申請書は公開されていない。県によると、彦根城が江戸時代の安定した統治体制を今に伝える建築物だとする価値付けをより具体的に説明したといい、堀や石垣、天守など城郭の各部を江戸時代の他の城郭と比較・分析し、国内の近世城郭で最も保存状態がいいとの結論を際立たせたという。

 事前評価制度は、質の高い推薦と確実な登録を目指す目的で今年から始まった。結果は来年10月に通知される見通しで、登録は最短でも4年後の2027年になる。三日月大造知事は「より良い評価を得られるよう努力を重ねる」、和田裕行彦根市長は「文化庁、県と連携し、イコモスからの助言に適切に対応していきたい」とのコメントをそれぞれ発表した。

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