「100%までにあげなければ」送迎バスの安全装置の最新設置率は86.5% 安全管理“園任せ”にしないためには

2022年、静岡県牧之原市の認定こども園で起きた園児のバス置き去り死事件を受けて、国は2023年4月から保育所や幼稚園などの送迎バスの安全装置の設置を義務付けました。悲劇を繰り返さないための対策はどれほど進んでいるのか。事件から1年となった9月5日、静岡県は最新の設置率を発表しました。

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<静岡県こども未来課 鈴木安由美課長>
「8月末までの安全装置の設置完了予定は591台の内511台が設置。(こども園や幼稚園などの)設置率は86.5%」

静岡県は5日、県内の送迎バスの安全装置の設置状況を発表しました。前回、発表した6月末までの数字と比べ、16%上昇しています。

<静岡県 川勝平太知事>
「いま、保育園、幼稚園では86%というところまで上がったが、これを100%まで上げなければいけない」

静岡市駿河区の南八幡幼稚園では、2023年7月下旬に安全装置を設置しました。通園バスが1台しかなく、運行を止めるわけにはいかないため、安全装置の設置する時期を夏休みまで待ちました。

<南八幡幼稚園 送迎バス運転手>
「(確認の回数は)増えましたね」
Q.添乗員さんの確認と合わせると?
「計3回。掃除も含めたら4回くらいになる」

しかし、安全装置が設置された今も、名簿を使って子どもたちが安全に降りたか、以前からのチェック方法を継続しています。

<南八幡幼稚園 送迎バス補助員>
「これはバスキャッチといって、きょう、朝と帰りに乗る子と乗らない子がわかる。やっぱり目で確認するのが大事だと思う。照らし合わせて違うと思ったらすぐ連絡する、確認を取るのが大切」

教育現場の危機管理に詳しい専門家は、置き去りを防ぐためには、”園任せ”ではいけないと指摘します。

<東京学芸大学 渡邉正樹名誉教授>
「改めて国や自治体がきちっと入れたかどうかのチェックですよね。また、それをしっかり運用しているかを確認する。全部を園に任せるのではなくて、やっぱり自治体の方からそういったチェック機能を果たしてほしいと思っている」

<河本千奈ちゃんの父親>
「自分たちは大丈夫という他人事というのがどうしてもあると思う。命を預かる仕事をするなら、しっかりやってほしいと思う」

2024年3月までに設置が求められている安全装置。二度と子どもの尊い命が奪われないよう、形だけでなく、現場の安全管理を徹底していかなければなりません。

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