もっと「しあわせにゃん」…譲渡型保護猫カフェが福井市に移転拡大オープン、5年間で350匹“縁結び”

保護猫がゆったりと過ごせる新店舗のカフェスペース=福井県福井市栄町

 捨てられたり殺処分が迫ったりしている猫を保護し里親を探す「譲渡型保護猫カフェ」を福井県福井市で運営するNPO法人が、100匹を保護できる新たな拠点を8月上旬、同市栄町にオープンした。収容数を増やし、ウイルス感染した猫用の部屋を設けるなど、里親と縁を結びやすくする工夫をこらした。NPOは「カフェに来てもらい、たくさんの人に活動を知ってほしい」と期待している。

 同カフェ「しあわせにゃん家(ち)」は2018年、同市上野本町にオープン。オーナーでNPO代表理事も務める渡辺奈々美さん(44)=福井県あわら市=が、動物が殺処分される現状を知り「身近な命を助けたい」と活動を始めた。計70匹の猫を保護するシェルターも近くに設置。カフェの利益などを保護資金に充て、5年間で約350匹を里親と結び付けてきた。

 猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染した猫も保護しており、里親との出合いを増やし多くの命を守る環境を整えようと、新しい拠点への移転を決めた。

 新店舗は1階が猫カフェ、2階がシェルターと事務所。カフェスペースは旧店舗の約2倍あり▽子猫▽人慣れしていない▽FIV感染-に分けた三つの部屋も備える。旧店舗のシェルターは残し、病気やみとりの猫用の空間として使う。

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 これまでの活動で、「飼えなくなった」「近所に野良猫がいる」といった引き取り依頼の連絡を多々受けてきたという渡辺さん。1匹を救うために金銭や労力が必要で▽飼う際は最後まで面倒を見る▽野良猫に餌をあげるなら不妊手術をする-など、命に責任を持ち行動してほしいと訴える。

 一方、活動を知りカフェに来たり寄付してくれたりと、支援してくれる人も増えてきたという。渡辺さんは「保護活動は私たちだけでは追い付かない。一人一人ができることを考え、動物に優しい目線を向ける世の中になってほしい」と願った。

 カフェの営業時間は午前10時~午後6時。問い合わせは同カフェ=電話0776-76-6702。

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