茨城県内交通死 年100人超恐れ 8月末65人 人流回復一因か

茨城県警本部=水戸市笠原町

茨城県内で交通死亡事故が増加し、死者数が8月末現在で前年同期比17人増の65人(速報値)となった。新型コロナウイルス禍で抑えられていた人流が回復したのが一因とみられ、同月には県内全域に死亡事故多発警報も発令。今年1年間の死者数は、4年ぶりに100人台となりかねない事態となっている。

同県警によると、県内の交通死者数は2016年の150人から減り続け、20年は84人と64年ぶりに100人を下回った。21年はさらに4人減り、1955年以降で最も少ない80人だったが、昨年は91人と増加に転じた。これまでの最多は71年の633人。

今年起きた交通事故の死傷者は8月末現在で5185人。2020~22年の8月末は4千人台で推移していた。

死者65人のうち、ほぼ半数に当たる31人が高齢者。全国で9番目に多く、内訳は歩行者16人、自動車7人、二輪車2人、自転車6人だった。8月22~31日の10日間には高齢者の死亡事故6件(死者6人)が相次いで発生し、県内全域に交通死亡事故多発警報(高齢者警報)が発令された。同様の警報は今年1月にも、県央地域を対象に出された。

交通死者増加の背景について、県警は「コロナ禍後に経済活動やイベントが再開し、交通量が回復したのが原因では」とみているが、はっきりした原因は分かっていない。

今後の事故防止に向け、県警は2023年度に県内27署で始めた高齢者世帯への巡回連絡で注意喚起するとともに、ドライバーに対しては「9月中は午後5時を目安に前照灯を点灯してほしい。薄暗くなる前から意識して前照灯をつけることで、自分の存在を周囲に知らせてほしい」と呼びかけている。

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