茨城県健康長寿条例を検討 いばらき自民 予防医学 基本に

茨城県議会棟=水戸市笠原町

茨城県議会のいばらき自民党は、長寿社会に備えた県民の健康づくりを支援する条例の制定に向けて検討を始めた。県内の65歳以上の人口割合が3割を超えるなど高齢化が進む中、生活習慣の改善や認知症対策などを体系的に進め、「健康長寿」や「予防医学」の環境づくりを促す。今後、議員提案を目指す。

検討しているのは「県健康長寿日本一を目指す条例」(仮称)。健康上の問題で日常生活を制限せず暮らすための健康長寿や、病気を防ぐ予防医学を基本理念に、生活習慣の改善や認知症対策など具体的な複数項目を掲げ、体系的な取り組みを推進する。

主な内容として、生活習慣の改善▽介護予防体操など運動の習慣化▽健康を守る予防医学への理解促進▽食習慣や栄養学による改善▽認知症対策▽健康維持のための口腔(こうくう)ケア-などを想定する。各項目に対し、県民や県、市町村、民間事業者、医療・福祉など関連団体が担う役割も明確化していく。

背景には歯止めのかからない少子高齢化や人口減少がある。厚生労働省による2019年の国民生活基礎調査に基づく集計では、茨城県の健康寿命は男性が72.71歳で全国19位、女性が75.8歳で17位と、共に全国平均を上回る。ただ、健康寿命から平均寿命までの「日常生活に制限のある期間」は、男性8.18年、女性11.14年と10年前後の長期に及ぶ。

県健康推進課によると、20年度の県民の死亡原因は悪性新生物(がん)27.1%、心疾患14.3%、脳血管疾患8.9%で、生活習慣病が5割超を占める。このため、生活習慣の見直しや介護予防に向けた運動、認知症対策などを促す条例制定により、地域全体で健康づくりに取り組む環境を構築したい考え。

静岡や大阪など、国内では4府県で健康長寿に関する条例を定めた事例がある。ただ、「具体的な項目と県民、行政、関係団体などの役割を挙げ、体系的に取り組む内容まで定めた条例は少ない」(同党関係者)という。

会派内の10人で構成するプロジェクトチームを立ち上げ、座長に磯崎達也県議が就いた。勉強会を重ね、12月に開催を予定する定例会の常任委員会で審議した上で、24年3月の定例会で提案を目指す。磯崎氏は「人生100年時代を迎える中、長く元気で過ごせる環境づくりに取り組む」と話した。

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