珠洲の見附島にひび 複数、ドローンで確認

ドローンで撮影した見附島北西側の先端部斜面。縦に複数のひび割れが入っている=珠洲市宝立町鵜飼

  ●本社調査 専門家「崩落拡大の恐れ」

 北國新聞社が取り組む珠洲市宝立町鵜飼(うかい)の石川県天然記念物・名勝「見附島(みつけじま)」の調査で、ドローンを使った空撮により、地震で崩れた先端部の斜面に複数の「クラック」(ひび割れ)が入っていることが6日までに確認された。島は5月に発生した最大震度6強を含む一連の群発地震で斜面の崩落が進んでいる。専門家は「今後、クラックを中心に斜面の崩壊がさらに拡大する恐れがある」と指摘する。

 ドローンを使った見附島の精密撮影は、北國新聞社が珠洲市と締結した包括連携協定に基づく取り組みとなる。8月24日に1回目の空撮が行われた。

 船が浮かんだような形状から「軍艦島」とも呼ばれる見附島は、波風にさらされ、年々小さくなっているとされる。空撮写真によると、海岸から見て正面に当たる北西側の斜面に加え、裏面となる南東側も崩落が進み、「船首」にあたる先端部は、とんがったように細くなっていた。ひび割れは、両面の先端部に集中して複数確認された。

 地質を専門とする金大理工研究域の長谷川卓教授(地球社会基盤学系)によると、強い揺れで新たなひび割れが生じたり、元々あった裂け目が広がったりした可能性があるという。気象庁は5月の奥能登地震について、断層が上下方向にずれる「逆断層型」と分析しており、斜面に縦に延びるひび割れに影響したとみられる。

 長谷川教授は「両先端部の斜面は風化で幅が狭くなり、亀裂が入りやすい状態と言える。また強い地震が起きればさらに崩落が進み、島の先端部はますます細くなるだろう」と推測する。

 今後は、ドローンを使ったレーザーによる撮影も行い、島の地層や形状を精密に調べる。北國新聞社の手取川環境総合調査に加わる地質、植物、鳥類の専門家らが参加し、撮影は建設コンサルタント「地域みらい」(中能登町)が担う。長谷川教授は「草木に覆われて隠れているひび割れがあるかもしれない。島の『被災状況』の把握につなげたい」と語った。

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