返礼品に温泉券、文書偽造も 第三者委「市長らコンプラ意識低い」 洲本市ふるさと納税「おまけ」問題

ふるさと納税の指定取り消しを受けた洲本市の返礼品サイト=洲本市本町4

 兵庫県洲本市がふるさと納税の返礼品基準に違反し、制度除外された問題で、市が設けた第三者調査委員会(委員長=河瀬真弁護士)は7日、調査の最終報告書を公表し、市に答申した。関連文書に偽装があったほか、担当課長への権限集中、地方自治法違反の可能性といった問題点を挙げ、「市長ら幹部の法令順守意識や内部統制が機能せず、問題を招いた」と批判した。

 最終報告によると、「温泉利用券」をはじめ返礼品の調達費を寄付額の30%以下とする基準や、返礼品は地場産品とする基準に計373品目が違反していた。

 また、返礼品調達に伴う高額支出に際し、必要な議会の議決を得ていないことを地方自治法違反と指摘。温泉利用券について事業者団体と交わした文書も偽装とみなされた。市長の公印が必要な書類に独自に作ったスタンプを代用していたことも分かった。

 その上で、一連の市の体制や対応を「法令順守よりもふるさと納税の寄付額増大を優先した」「市長ら幹部職員のコンプライアンス(法令順守)意識が低い」と批判。制度復帰に向け、民間のコンサルタントに業務分析を委託し、専門家による委員会を新たに設けて意見をもらうべきだとした。

 第三者委は、ふるさと納税制度そのものについても「自治体間で返礼品を巡る競争に拍車をかけ、違法な事務処理の温床になっている」とし、「都道府県の監督権限を強化すべき」などと提言した。

 答申を受け、上崎勝規市長は「市民、事業者、寄付者に改めておわびする。報告書を真摯に受け止める。ふるさと納税は市にとって有効な施策。法令、基準を順守して信頼を回復し、できる限り早い復帰を目指したい」と話した。(荻野俊太郎) 【洲本市のふるさと納税問題】ふるさと納税の返礼品「洲本温泉利用券」の調達費が寄付額の30%以下とする国の基準に違反し、2022年5月、総務省から2年間の制度除外とされた。全国で3例目。同9月、市は第三者調査委員会を設置。基準違反のほか、返礼品にあてるブランド牛の一頭買いなど多岐にわたる問題が判明した。洲本市のふるさと納税寄付額は20年度まで5年連続で兵庫県内トップ。20年度は寄付額が約54億円に上り、全国8位だった。

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