8月20日午後4時ごろ、神戸市東灘区の住吉川で溺れて一時意識を失った男子高校生(16)を連携プレーで助けたとして、兵庫県警東灘署は9月1日、住吉中学校(同区)の生徒4人に、県の善行賞「のじぎく賞」を贈った。勇敢な活動が実り、高校生は翌日、意識を取り戻した。(大高 碧、劉 楓音)
■「助かったこと、本当にうれしい」
受賞したのはいずれも3年の中嶋大晴(たいせい)さん(15)、村松柾昭(まさあき)さん(14)、竹内伶音(れおん)さん(15)、松本祥宗(あきむね)さん(15)。川遊びをしていると、近くで遊んでいた高校生たちから「友達が溺れてる」と、助けを求める声に接した。
同署によると、高校生は滝つぼのような場所で遊んでおり、水深約4メートルの川底で意識を失い沈んでいたという。ただならぬ様子を見た4人は、迷うことなく役割分担をし救助に加わった。
水泳を習っていた中嶋さんは、持参していた水中めがねを身につけ川底まで潜った。程なくして沈んでいる高校生を見つけると、体を引き寄せ、肩にかついで水面まで引き上げた。浅瀬の岸では村松さん、竹内さん、松本さんの3人が待機。力を合わせて高校生を安全な場所まで移した。
地域の防災活動や保健体育の授業で、救急の知識を培ってきた村松さんがバトンを受け継ぐと、電話で消防隊員とやりとり。指示に従いながら心臓マッサージを開始した。「単3電池の長さ(約5センチ)分、胸の真ん中を圧迫してください」と教えられた通り、約10分間続けた。
「大丈夫やから、ゆっくり呼吸して」。心臓マッサージの間、4人は高校生に声をかけ続け救急車の到着を待った。村松さんは、「不安はあったけど、容体がよくなればとの一心だった」と振り返った。
賞を受け取った4人は、少し照れながらも背筋を伸ばし、「高校生が助かったことが本当にうれしい」と口をそろえた。
■水難学会・斎藤理事に聞く 溺れたら「浮いて待て」
今回の住吉川の水難事故を受けて事故予防、遭遇した場合の対処について、水難学会理事の斎藤秀俊・長岡技術科学大学大学院教授(60)に注意点を聞いた。
Q・安全に遊べる深さはどれぐらい。
A・「ひざより下」です。それより上は流れに体が取られる危険性が高まります。川でできるのは水遊びまで。泳ぐことはできないと考えてほしいです。
Q・万一、溺れてしまった場合はどう対処したらよいでしょうか。
A・大切なのは「浮いて待て」。水面から顔を出し、あおむけの姿勢で手足をできるだけ広げます。ぷかぷか浮いて救助を待ちましょう。激流や急流の中、無理に岸に向かおうとする必要はありません。
Q・もし、溺れている人を見つけたときはどうすればいいですか。
A・本人にも「浮いた状態で待って」と伝えます。119番をして近くの人にも助けを求めましょう。浮力のあるもの、例えばペットボトルや浮輪などを投げて渡すとよいです。