日本発「国連を支えるこども未来会議」、その活動を堀潤が米NYからレポート

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。「New global」のコーナーでは、キャスターの堀潤がアメリカ・ニューヨークから国連本部で行われた“国連を支えるこども未来会議”のイベントをレポートしました。

◆子どもたちが考えた政策を国連に提出

今年3月に東京都・江東区で行われたイベント「国連を支える世界こども未来会議」では、小学4~6年生の約50人、10チームが政策について議論。そこで出た子ども目線の政策を先日、代表者3人がニューヨークの国連本部を訪れ、国連に提出しました。

国連本部を前に小学5年生の市川昴さんは「(国連を)平和な世の中にしていける人たちがたくさんいるところにしていきたい」と抱負を述べ、小学5年生の柏木いろはさんは「もっと平和になったらいいよね」と夢を語り、小学4年生の佐藤和奏さんは「みんなで分かり合って、ケンカもするけど戦争はやりすぎじゃないかなと思います」と率直な思いを語ります。

また、国連パレスチナ難民救済事業機関で働く25歳の日本人国連職員・古川友理さんは今回の取り組みに対し、「本当に革新的で必要な取り組みだと思う」と激賞。「これから世代交代が行われていく中で、世界を作っていくのは若者・子ども。その子どもと接点のない閣僚、国連職員が子どもの声を直接聞けるのは、彼らの考え方を変えるきっかけになると思うので、こうした取り組みが今後も行われれば」と期待を寄せます。

国連本部に訪れた子どもたちがまず向かったのは、ニュースなどでよく見る国連本部の大会議室。そして、国連本部グローバルコミュニケーション局のヴィンセンツォ部長に政策をまとめた「アイデアブック」を提出。そこには「世界中の多様性を認めよう」、「社会のルールを守ろう」、「バイオマスを活用しよう」といった提言が、子どもらしいイラストを交えて記されています。

その瞬間を目の当たりにした堀は笑みを浮かべつつ、「(子どもたちへの)質問のなかで『どうして戦争をするのか』、『どれくらいの人が今、危機に喘いでいるのか』、『国連は何ができるのか』、そして『違いはあってもいいが戦争まではしてほしくない』といった声が子どもたちから聞かれた」と振り返ります。

堀は国連本部の周囲にいた世界中の方々に取材したそうですが、そこで多く耳にしたのは"コミュニケーション”の必要性、「どんなに違う立場であっても話し続けること」と「対話のテーブルにつくこと」だったと言います。

しかし、「その対話のテーブルにつくことができないときに何をすべきなのか。この問いに関しては答えが出たわけではない」と語り、「まさに子どもたちから私たちにその可能性を絶対に諦めるなと突きつけられているような1日だった」と感想を口にします。

国際ジャーナリストのモーリー・ロバートソンさんは、子どもたちはもちろん、25歳という若さでパレスチナ問題に関わる古川さんに驚き、「子どもの頃から国連に接したりすると世界への意識が芽生える1つの例を見させていただいた。やはり小さいときから世界に触れ、世界のことを知っておく、大人が解決できないことを考える姿勢を保つことが大事」と私見を語ります。

「The HEADLINE」編集長の石田健さんは、若い世代の行動力は時に対話などを超えた力があるとし「(環境活動家の)グレタ・トゥーンベリ氏などは明らかに大人であればやらない形で『おかしい』と言い続け、科学者や政策決定者が何十年もかけて対話が大事、テーブルが大事としてきたことをストレートな形で動かしたシチュエーションがあるので、彼らの行動力や対話を超えた問題の設定能力は学ぶことはたくさんあると改めて思った」と若い力を賞賛していました。

◆堀も絶賛、国連で行われるワークショップ

さらに同コーナーでは、子どもたちがアイデアブックを提出した後、国連本部内で開催された「国連を支える世界こども未来会議」のイベントの模様を伝えました。

このイベントには武井俊輔外務副大臣も参加し、会場内では"その人らしく 心地よくいられる”状態や価値観を示す「ウェルビーイング」のカードや"心臓の鼓動”を"光”を通じて遠くの人に伝える「心臓ピクニック」などを紹介。加えて、ミュージシャンのMIYAVIさんがプロデュースしたテーマソングを子どもたちと一緒に披露。

その他にも2024年3月に東京都との共催イベントの開催されることが発表され、さらには2025年の大阪万博に向けて、ピースコミュニケーション財団の一木広治代表理事が"メタバースプロジェクト”のスタートを宣言。「メタバースで開催することで、世界の子どもたちがより集まれて、多くの素晴らしいアイデアと交流が生まれることと思います」と抱負を述べました。

今回、国連でさまざまな経験を積んだ子どもたちは「すごく楽しかった」(柏木いろはさん)、「たくさんの人に聞いてもらえたから、世界が変わっていけたらいいなって思っています」(市川昴さん)、「みんなに伝わったら、世界が少しだけでも平和になれるかな」(佐藤和奏さん)とそれぞれ思いの丈を語ります。

不安定な情勢が続き、一部では国際連合安全保障理事会の機能不全が囁かれていますが、子どもたちが声を上げるなか、大人はどうするべきなのか。子どもたちとともにテーマソングを歌ったMIYAVIさんは「国連も含め、こういう場があるということがすごく大事だと思うし、あとはそこで僕たちが何をしていけるか」と話していました。

堀によると、「国連を支える世界こども未来会議」は3年前、子どもたちが国連に提言できる組織を立ち上げようと日本で発足されたもので、昨年末にようやく国連から正式な取り組みと認められました。そして、この1年間は子どもたちが何度も議論を重ね、それをまとめたものを今回提言したそうで、堀は「この取り組みを次は世界の子どもたちと繋ぎ、広げていく。それが日本のできる役割の一つかなと思う」と力を込めます。

堀のレポートに、キャスターの豊崎由里絵からは「子どもたちが世界平和を一生懸命考えているにも関わらず、大人である私たちは戦争が起きているのに経済的なことを考えて『あそことは手を離してはいけない』とか、そういうことばかり考えてしまって」と反省の言葉が。

ジャーナリストの春川正明さんは、「国連を支える世界こども未来会議」が日本発の取り組みであることを称え、「ぜひ民間にも広がってほしい」と熱望。また、日本は各国に比べて国連職員が増えない現状に触れ、こうした活動を小中学校時代に経験することで、国際社会で働く日本人が増えることに期待します。

堀も春川さんの意見に同意しつつ、国連で実際に行われていたワークショップを紹介。そこでは子どもたちを2つのグループに分け、自由に国を作り、その後、お互いの国がぶつかり合ってしまったらどうするのか、誰が仲裁するのかなどを考えさせていたそう。そうすることで国連の重要性を意識することができ、堀は「小さいときにこれに触れられるのは大きい」と絶賛。

そうした声に、食文化研究家の長内あや愛さんは「子どもたちが世界に目を向けるきっかけは大事」と頷きます。

経済ジャーナリストの荻原博子さんは「大人は分断。この分断を埋められるのは子ども」と子どもの重要性を指摘していました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:30 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、豊崎由里絵、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組X(旧Twitter):@morning_flag
番組Instagram:@morning_flag

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