夏の不調を脱した長打力 広島カープ・末包昇大 “脱力打法” 微調整に “狙い球” 藤井ヘッドコーチの助言

長く厳しいペナントレースも終盤に…。“家族一丸” で戦う新井カープの中で存在感を高めているのが、末包昇大 です。

実況
「打ちました、右中間。ライトが下がっていく。打球は伸びて、入りました。グランドスラム」

「規格外のパワー」と「4割に迫る得点圏打率」でチームに勢いを与えています。

広島カープ 末包昇大 選手
「(外野手に)けが人が出ていて、チームがたいへんな状況で自分が1軍にいたので、やっぱりそういった中で自分の仕事っていうのをしっかりと少しは出せたのかなと思いますね」

昨シーズン、新人ながら開幕スタメンを勝ち取り、球団64年ぶりの開幕新人猛打賞を記録した末包。しかし、確実性に乏しく、1年目は31試合の出場にとどまります。

2軍スタートとなった今シーズン、打撃の確実性を高めるために取り組んだのが、
“脱力打法” でした。

末包昇大 選手
「自分たちみたいにパワーのあるバッターっていうのは、力を入れなくても飛ぶっていうのはあるので、いかに脱力して打席に入るかっていうのが大事だっていう。完全には力を入れずに、思いっきり振らずにっていうような」

この取り組みが効を奏し、2軍で結果を残すと、6月に1軍初昇格。広角に打ち分ける勝負強いバッティングで結果を残します。

末包昇大 選手
「2軍で自分の中で少し手応えを感じて、やってきたことがそのまま、1軍で出せたので」

― 手応えを感じていた部分と取り組んできたことっていうのは、当初はどんなものだったんですか?
「手応えは何て言うんですかね、簡単に打ち取られないということと、しっかりとコンタクト率が上がって、安打数が増えたことによって自分の中で余裕ができたのかなっていうのはありましたね」

そんな末包でしたが、8月に入ると、16打席ノーヒットと不調に…。

末包昇大 選手
「うーん、何をやってもダメだっていうか、なんかヒットを打てるイメージがなかったのでつらかったです」

そんな末包が不調を抜け出せた理由―。それは、首脳陣の言葉にありました。2軍で習得した “脱力打法” に加え、“1軍での学び” が大きな成長につながったといいます。

末包昇大 選手
― 教えの中ですごくしっくりきたアドバイスとか、ご自身の発見みたいなものってありましたか?
「一連の動作の中でボールを捕まえるっていう動きを監督とヘッドコーチ、またバッティングコーチの方と話し合ってできたっていうのと、あとはヘッドコーチから技術だけじゃなくて、対バッテリーの考え方だったりっていうのもいろいろ教えていただきましたね」

現役時代、キャッチャーとして活躍した 藤井彰人 ヘッドコーチの教え―。それは、長打が自慢の末包に新たな発見を与えます。ポイントは、“狙い球の絞り方” でした。

末包昇大 選手
「外角の球っていうのは、たぶん、どんなにいいピッチャーでも10球投げて3球ぐらいしか投げないっていうこと。外の強い球っていうのはそうそう、相手ピッチャーも簡単に投げられるものじゃないから。ってなると、やっぱり狙っていく球をそのとき、そのときで考えて確率の高い方っていうのを選択するようにという」

そして、不調の間に取り組んだのが、打撃フォームの微調整。6月と9月のフォームを見比べると、違いは明らかです。

末包昇大 選手
「監督やヘッドと話し合って、目線を低くしちゃうと、あんまり下半身を低くしちゃうと動くときにちょっと力が入って、難しい動きになっちゃうので、やっぱり高い、楽な位置から(バットを)振れるようにっていうような教えをしていただきました」

― そのアドバイスが生きて今の打撃に手応えを感じていますか?
「やっぱりミスショットが少なくなったので、甘い球を1球でとらえる確率が上がりましたね。上がってきて、最初の2本のホームランが、2軍での、なんて言うんですか、やってきたことっていう2本だったと思いますし、そこから5本打てたっていうのは、1軍での経験だったり、監督・スタッフの方、そして先輩方からの指導でまたできあがった新しい形っていう中での5本だったかなと思います」

取り組んできた “脱力打法” に加え、配球を読む思考力、さらに打撃フォームの微調整で、ワンランク上のステージに到達した末包。そのバッティングでチームへの貢献を使います。

末包昇大 選手
「やっぱり今はけが人もいて、チーム的にもこの時期ですけどレギュラー争いもまだまだし烈といいますか。そういった部分でチャンスをもらったときに、しっかりと結果を残して、常に出してもらえるようにがんばっていきたいなと思います」

◇ ◇ ◇

RCC野球解説者 天谷宗一郎 さん
どの選手に話を聞いても、やっぱりシーズン中にレベルアップしているなって、新井監督が言っていることに通じるなっていうふうに思います。今、アウトコースって言ってましたけれども、3日の中日戦を見ると、また戻ってアウトコース中心の配球だったりしているんですよね。やっぱり、そういうところは相手スコアラーもいますから、狙い玉をいろいろ変えていく。そうすれば、より末包選手のパワーっていうのは今後、チームを救う一打というのにつながるんじゃないかなと思います。

青山高治 キャスター
視聴者の方から「末包選手の遠くへ飛ばす魅力がすごく好きです。将来、カープの4番を担える逸材だと思っています。これからも主力としてチームを牽引していってほしいです」と。魅力的ですよね、あの右のバッティングはね。

石田充 アナウンサー
まずは今週、一発を見たいと思います。

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