連日大雨の栃木県内、台風13号の備え急ぐ 農園に排水ポンプ、下校時間早める市町も

排水ポンプを設置する佐野観光農園の社員=7日午後、佐野市植下町

 栃木県に警報級の大雨をもたらす恐れがある台風13号の接近を前に、県内では7日、農業関係者がビニールハウスのそばに排水ポンプを設置し、各市町教委は雨が強まる見込みの8日の下校時間繰り上げを決めるなど備えに追われた。県内各地は9月に入って連日大雨に見舞われており、防災の専門家は余裕を持った避難行動を呼びかけている。

 佐野市植下町の佐野観光農園では7日、ビニールハウス脇に排水ポンプを設置する作業を急ピッチで進めた。ハウスで栽培するのはイチゴ。32棟のうち、水はけの悪い場所を中心に計10機を取り付けた。

 「最近、災害が進化しているように感じる。自分たちが自然に合わせ、対策を考えていくしかない」と関哲夫(せきてつお)社長(56)。脳裏をよぎるのは、県内に甚大な被害をもたらした2019年の台風19号だ。同農園も、苗の6割が水に漬かった。

 ハウス内は苗の定植を控え、畝を作ったばかり。「浸水すると畝が崩れ、苦労が水の泡になってしまう」と表情を曇らせた。

 宇都宮地方気象台によると、雨は8日昼過ぎから強まる見通しで、宇都宮や鹿沼、那須烏山などの各市町教委は小中学校の下校時間繰り上げを7日決定。上三川町教委は8日の臨時休校を決めた。

 宇都宮市の市街地北東部、奈坪川沿いに住む無職男性(79)は、市内に記録的短時間大雨情報が出た4日の大雨で、自宅が床上浸水した。

 同所で40年ほど暮らす中で、何度も床上、床下浸水に遭ってきた。雨の降り方に注意しながら自家用車を避難させたり、自宅2階への垂直避難なども想定しているといい、台風接近を前に「台風や大雨が来る時季は特に、家が流されないかという不安を抱えて生活している」と不安げに話した。

 NPO法人県防災士会の稲葉茂(いなばしげる)理事長(71)は水害時の避難行動について「時間があるときは指定避難所や高地に逃げられるが、切羽詰まった状況下では垂直避難も可能。夜間の避難は危険なので、余裕を持って行動してほしい」と呼びかけている。

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