「語ることの難しさが文化の中にある」70年放置されたジャニーズ性加害問題 根底にある日本社会特有の性質

ジャニーズ事務所を舞台に行われていた性加害の問題。静岡県民はこの問題をどう受け止めたのか。そして、性暴力などに詳しい県内の専門家は、今回の問題を日本社会が抱える問題だと指摘します。

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<ジャニーズ事務所 藤島ジュリー景子前社長>
「ジャニーズ事務所としても、藤島ジュリー景子個人としても、ジャニー喜多川に性加害はあったと認識しております。被害者のみなさまに心よりお詫び申し上げます」

9月7日に行われたジャニーズ事務所の会見。藤島ジュリー景子社長がジャニ—喜多川氏による性加害を認め、辞任。新社長に東山紀之氏が就任したことを発表しました。この問題を県民はどう受け止めたのでしょうか。

<20代女性>
「1人1人のタレントを『性被害があったのかな?』といった目で見てしまうので、いままでみたいに純粋に応援するのが難しくなるのかな」

<40代男性>
Q見る目は変わる?
「そうですね、変わりますね。本当は、どうだったんだろうな?と思ってします。子どもには、このニュースを見せたくない」

<10代男性>
「ジャニーズっていう大きな組織で問題になっているだけで、ジャニーズ以外の場所でも、性加害が起きていることもあると思う。いろいろなところに目を向けて欲しい」

性暴力などに詳しい専門家は、今回の性加害を「権力や立場の差が生んだ問題」と指摘します。

<静岡県立大学看護学部 藤田景子教授>
「社長のいうことを聞かなければ、自分の将来がなかったり、売れるか売れないか、自分が進むか進めないかに関係してくるとその天秤で誰かに相談できない。権力の中で起きる暴力の難しさ」

そして、1950年代から繰り返されていたとみられる性加害が70年近くも“放置”されてきた根底には、日本社会特有の性質があると指摘します。

<静岡県立大学看護学部 藤田景子教授>
「性に関して、性被害を受けたことを他者にいうことに抵抗がまだある。語ることの難しさが文化の中にあるので、よりいえない問題、(自分で)抱えることに結果なってしまった」

ジャニーズ事務所をきっかけに、注目された性加害の問題を今後に生かすには被害者の心理への理解が欠かせないといいます。

<静岡県立大学看護学部 藤田景子教授>
「性暴力の特徴として、被害を受けた人も『自分も悪いことがあったのではないか?』とか、受け入れた自分に苦しんでいる人がいる場合もあるので」

1,000人を超える被害者がいるかもしれない前代未聞の問題。“特殊な世界の特別な問題”と考えず、性加害の問題について私たち全員が正面から向き合うきっかけにすることが求められています。

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