<大学サッカー>総理大臣杯準決勝法政大は無念の惜敗、4試合7得点のストライカーFW小湊絆「悔しさを持ったまま次につなげられれば」

大学サッカーの全国大会・総理大臣杯準決勝が8日に宮城県石巻市内(セイホクパーク石巻フットボール場)で行われ、法政大(関東第6代表)は富士大(東北第2代表)に0-0とPK戦(3-4)の末に敗退した。

この日先発出場した今大会3試合7得点と最多ゴールの法政大FW小湊絆(1年、青森山田)は積極的にゴール前に顔を出すも、富士大の激しいマークにより不発に終わった。

小湊は「ここまで3試合で7点決めて、数字を見るだけで相手が警戒するべき選手は自分だと分かっていたと思う。それを乗り越えるほどの力が自分にはなかった…」と肩を落とした。

富士大イレブンは小湊に前を向かせないよう張り付くような守備で法政大の攻撃を防波堤のように防いだ。

フィニッシュシーンも富士大GK折口輝樹の好セーブやポストに嫌われるなど、後半25分の法政大の先制までこう着状態が続いた。

「あれだけ粘っこく守備されると、や自分の思ったようにボールも受けられない。普段通りじゃなくなるのがこの先当たり前になってくる部分であると思う。相手が必要以上に自分をマークしてきたときにどう乗り越えて、相手の想像の上にいけるかというのが課題だと思います」と激しいプレッシャーの中で得た課題を口にした。

それでも今大会では2度のハットトリックと阪南大との2回戦ではチームが苦しむ中で決勝点を奪った。この試合でも優れたタッチ技術、縦への推進力、空中戦の強さで実力の片りんを見せた。

試合を振り替え終わると背番号27は「ただ果的には負けましたけど、『負けるべくして負けた試合』ではなかったと思う」と、前を見据えた

青森山田10番の系譜

小湊は高校サッカー界屈指の強豪・青森山田高出身で、エースしか着ることが許されない10番を背負った。歴代の背番号10は神谷優太(現J2清水エスパルス)、髙橋壱晟(J2ジェフユナイテッド千葉)、郷家友太(J2ベガルタ仙台)、檀崎竜孔(オーストラリア1部相当ウェスタン・ユナイテッド)、武田英寿(J2水戸ホーリーホック)、2年連続で10番を身に着けた松木玖生(J1・FC東京)と全員高卒Jリーグ内定を勝ち取ったそうそうたる顔ぶれだ。

高校サッカー界でも注目の存在であった小湊だったが、高卒プロ入りは果たせなかった。卒業後は大学屈指の名門である法政大へ進学。1年生ながら得点源として活躍し、複数のJリーグクラブから熱視線を注がれている。

「自分の中でプロになるのは当たり前なので、プロになったその先のことを大学1年生ですけど、考えていかないと。もちろん同学年でJの舞台で出てる選手もいますし、大学に来ている分遅れを取っている」と冷静に現在地を見ていた。

決定力の高さなど既に超大学生級の実力を持っているが、きょうの敗戦で気づきを口にするなど恐ろしいほど賢く、落ち着いている。

「やはり今日の試合に限らずですけど、『試合を決められる選手』になっていかなきゃいけない。高校3年間でその部分で負け続けてきたので、そう考えるときょうのような何気ない一つの試合かもしれないですけど、そこで『結局ゴールを決めるのはアイツだよな』という存在にならないといけないし、そういう選手がいるチームが勝つと思う」とスーパールーキーは語る。

高校時代は2年次に選手権、全国高校総体、高円宮杯プレミアリーグEASTをすべて優勝して3冠を達成するも、選手権決勝、高校総体決勝では小湊は控えに甘んじた。高校3年次はタイトルを勝ち取れなかった苦い経験がある。

「ここ3試合はそういう働きができたかもしれないですけど、最終的にこういう試合にしてしまったのは自分にも責任がある。そこの試合を決め切れるような選手になるというのが大学での目標でもあります。理想ではなく、それを現実にしていかないといけないと思っています」と言葉に力を込めた。

今季の関東学生リーグ1部では12チーム中10位と苦戦続きの法政大ー。上位チームに出場権が与えられる冬の全国大学選手権「インカレ」で戦うには後期リーグ戦で結果を出さなければならない。

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小湊は「全員がこの悔しさを味わって、さらにチーム内の競争も激しくなると思います。順位的にはもう勝ち以外の結果だと本当に厳しくなってくるし、インカレ出場が厳しくなってくる。ここで一段落するんじゃなくて、悔しさを持ったまま次につなげられればいいと思います」と後期リーグ戦に向けて闘志を燃やしていた。

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