買い取り査定に「びっくり」 “安全資産” の金 価格が過去最高 1グラム 1万円超す 火葬場からも回収

金の価格が上り続けています。ついに1グラムあたりの小売り価格が1万円を超えています。価格上昇の効果は、意外なところにもあるようです。

まずは、広島市にある貴金属買い取り店を訪ねてみました。

広島市の中心部にある買い取り店「エコリング広島中央店」です。貴金属やブランド製品だけでなく、使わなくなった香水など幅広いものを買い取っています。金の価格が1万円を超えたことから、去年の同じ月と比べて来店客は2倍ほどに増えているそうです。

査定の依頼に訪れていた女性。タンスに眠っていたブレスレットやネックレス、指輪の査定を待ちます。売却されたのは7点。「買い取り額はヒミツ」ということですが、驚きを隠せないようで…

査定を依頼した人
「びっくりです」

― 売却で得たお金の使いみちは?
「時計が好きなので、時計がほしいです」

売却した7点のうち一番、査定額が高かったのは、ネックレスでした。「ホワイトゴールド」という、18金とパラジウムでできた希少な合金で作られていて、買い取り額も高くなったそうです。

とはいえ、どんなものがどれくらいで売れるのか、気になります。こちらの店で今月、一番高く買い取ったものを聞きました。この18金のネックレス、買い取り額は34万5000円だったということです。

続いて来店した女性は…

査定を依頼した人
「テレビで見て、金が高いということで持ってきてみました」

査定を依頼したのは、使わなくなり、タンスで眠っていたネックレスやピアスなど。はたして金は含まれているのでしょうか?

店の人
「こちらで失礼いたします。全部で1万285円になりました」

査定を依頼した人
「これだけでもあったんですね」

店の人
「(金額の)ほとんどは、この18金ですね。石の部分を除いて、ここの18金の部分で9900円」

18金が含まれていたのは、ピアスでした。ほかのものはすべて、「金メッキ」でしたが、買い取り金額には満足だったようです。

査定を依頼した人
「思ったより高くて、びっくりしました。おいしいものでも食べようかと思います。」

エコリング 広島中央店 藤岡優介 店長
「2020年のコロナ禍から急激に相場が上がってきた。世界情勢が不安定になってくると、貴金属に対する投資の注目が集まる。物質として希少価値が上がっているのが貴金属製品とひとくくりで思っていただいてもいいんじゃないかと思っています」

こんなところでも金価格上昇の影響があります。

火葬を終えて収骨をした後に残った灰には、金などの希少な金属が含まれていることがあります。

例えば、亡くなった人の歯の治療で使っていたかぶせもの。銀歯には金を含む合金が使われています。また、ペースメーカーには希少なプラチナなども含まれています。

広島市は、昨年度からこういった希少な金属を回収して収益化する取り組みを始めました。最初の9か月間で回収された金はおよそ1.2キロ…。そのほかの金属も合わせた売却額の合計は1990万円にも上りました。

残った灰を有効活用する取り組みは、全国の政令市の多くで実施されていて、広島市は今年度も継続するとしています。

広島市 健康福祉局 環境衛生課 管理担当課長 舟原康博 さん
「広島市では回収できる貴金属をなるべく回収して市場に還元するべきだと考えている。市の収入として行政に役立てたい」

世界的に需要が高まる “安全資産の金” 。今後の相場について、エコリングの藤岡店長は、「しばらく高止まりが続くのではないか」と話していています。

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小林康秀 キャスター
金の価格について、おさらいしたいと思います。2000年代のはじめまでは1グラム当たり1000円程度だったんですけども、極端に上がり始めたのは、ここ数年だということです。2018年は5000円台(最高値5222円)なんですが、コロナ禍が本格化した2020年は7000円台(最高値7769円)になり、ついに2023年は1万105円。ウクライナ情勢もあって2021年以降も上昇を続けていると。

青山高治 キャスター
ほんのちょっとの量でも金は、あんなに価値があると。灰になる前に「おじいちゃんは金歯を入れいるからね」と孫とかに伝えた方がいいのかなとかいう気にもなります。

コメンテーター 平尾順平 さん(ひろしまジン大学 代表理事)
価格が上がっているのは世界情勢も影響しているという話。ある意味、不安定だからこそ、金が上がっていくことを考えると、喜ぶだけでなく、社会がそうやって動いていることも実感させます。

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