九戸の甘茶、コロナ感染抑制に効果 岩手生工研が研究成果発表

 

 岩手生物工学研究センター(小岩一幸理事長)は、九戸村特産の甘茶に含まれる成分に、新型コロナウイルスの感染を阻害する効果があることを突き止めた。甘茶の特徴的成分であるフィロヅルチンなどがウイルスとヒト細胞のタンパク質の結びつきを阻害する反応を示した。飲用やうがいによって感染リスクや症状の軽減が期待でき、オミクロンなどの変異株でも同様の効果が見込める。今後は細胞レベルでの詳細な研究を進める。

 生物資源研究部の矢野明部長らのチームが文部科学省の支援を受けて取り組んだ。同センターは県内の農産物から500超の素材と千種類以上のエキスを抽出して保管しており、コロナの感染が拡大した2020年から効果を調べた。

 コロナはウイルス粒子の表面を覆う「スパイク」タンパク質が、ヒトの細胞表面にある「ACE2」タンパク質と結びつくことで感染する。この結合を阻害する成分を調べた結果、厳選した110種のエキスの中で甘茶が強く反応。砂糖の400倍以上とされる甘み成分のフィロヅルチン、ヒドランジェノールの2成分がACE2をウイルスから守る働きを示した。ヒト細胞を守る盾のような反応をすることから、オミクロンなどの変異株にも効果を発揮するとみている。

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