米沢・栗子山「鳥類の衝突確率低い」 風力発電計画の住民説明会

事業者側が環境影響評価準備書の概要などを説明した=米沢市・板谷集会所

 米沢市の栗子山で風力発電事業を計画するJR東日本エネルギー開発(東京)は9日、周辺環境への影響や保全に関する考えをまとめた環境影響評価準備書の住民説明会を同市で開いた。予定地周辺では国の天然記念物イヌワシが確認されている。同社は「鳥類の風車への衝突確率は低い」とした上で、リスク低減策を講じる考えを示した。

 板谷、万世町刈安の両地区の説明会に計約30人が参加した。同社によると、調査データを基にした計算式などから猛禽類などの衝突予測は、20年間で1羽に満たない値だという。説明会では「付近に砂利などを敷き、猛禽類の餌となる動物を寄りつかせない」などの対策を示した。一方、予測には不確実性もあるとし、稼働後も調査を行い、衝突が確認された場合、専門家の助言を得ながら適切な措置をとるという。準備書によると、2020~22年の現地調査で、事業実施区域と周辺で延べ43例のイヌワシの他、クマタカの飛翔も確認している。

 準備書では騒音、景観、大気、河川などへの影響も調査し、それぞれの環境保全策を示した。

 参加者からは、風車の超低周波音による健康被害を懸念する声や、工事による濁水の抑制、猛禽類の衝突防止対策を求める声などが上がった。

 事業実施区域は福島県境の栗子山南側。最大10基の風車の設置を計画し、2028年度の稼働を目指している。

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