青森県内異状死、猛暑で増 8月検視70体、例年の2倍

資料を示しながら、今夏の検視の多さを説明する町田医師=8日、青森市の「まちだ内科クリニック」

 今夏の猛暑の影響で、熱中症や脱水症状などを発症し、自宅で亡くなる事例が県内で多数確認されていることが、青森市の警察医・町田光司医師(68)のまとめで分かった。同医師の医院に検視のため搬送された遺体は8月、70体と例年のほぼ2倍だった。エアコンがない室内で死亡した高齢男性の事例が目立った。町田医師は「過酷な猛暑から身を守るためには冷房が効いた施設を利用したり、氷や水で体を冷やしたりすることが重要。万が一のため、周囲とのつながりを保ち、連絡を取りやすくすることも大切だ」と話した。

 町田医師は県内の警察の依頼を受け、異状死体の死因を調べる検視を行っている。今年の検視件数は5月が21体、6月が29体。7月は24日から31日までの1週間で20体と下旬に増加し全体で37体。8月は1カ月合計で70体に上った。同月14日の検視数は7体となり、同医師が1日に行った検視としては最多となった。

 例年、同医師が行う年間検視数は約300件。1カ月で70体にも上ったことは「明らかに過酷な猛暑の影響」と説明する。

 8月の70体のうち男性が48体と女性(22体)の約2倍となった。全体の9割以上が60~90代の高齢者だった。エアコンがない室内で発見されることが多く、高温のため遺体の損傷が激しいケースが目立った。

 死因は、脱水、熱中症、循環不全など、高温を起因として複数の症状が重なった事例が多かった。心筋梗塞や脳出血のほか、新型コロナウイルス陽性の遺体も確認した。経済的理由で栄養状態が悪い中で、高温が体力を奪ったとみられるケースもあった。

 町田医師は、男性の異状死が多い理由について「外部との交流が少ないため、容体が悪化しても周囲に気づかれず、発見が遅れるのではないか」と推測。「猛暑は、脱水症状や熱中症など体に悪い影響を及ぼす。暑い室内に長時間いると感覚がまひし、状態の変化に気づかないこともある」とし「来年以降も記録的な暑さが続く可能性がある。冷房がある場所で過ごすなど、自分で自分の身を守ることが大切だ」と語った。

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