古い柱や梁活用、笏谷石の玄関…町家ホテルが三国湊に姿 福井県坂井市、旧市街地オーベルジュ化へ空き家改修

宿泊施設として生まれ変わった町家ホテルの内部=9月7日、福井県坂井市三国町南本町4丁目
外観は町並みに合わせ町家風情を残した町家ホテル=9月7日、福井県坂井市三国町南本町4丁目

 福井県坂井市三国町の旧市街一帯を、オーベルジュ(宿泊機能付きレストラン)化する「三国湊プロジェクト」で、春から行われてきた空き家改修工事が一部で終了、町家ホテルが姿を現し始めた。外観は袖壁などを生かし、笏谷(しゃくだに)石を敷き詰めた玄関など純和風の造りが風情ある町並みにマッチ、室内も江戸時代の古い柱や梁(はり)を生かすなど三国らしさを残す建物となっている。

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 町家ホテルは旧市街に点在する空き家10棟が対象で、春から1~3期に分け順次改修に着手。完成したのは1期の2棟で、まもなく残り1棟も完成する予定。

 完成したうちの1棟は南本町4丁目の木造2階建て、約60平方メートル。独特の「かぐら建て」で、キッチンやヒノキ風呂が付いた1LDKに生まれ変わった。5坪ほどの庭付きで、町家ホテルの中では小さいタイプ。

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 担当した住友林業ホームテック(東京)によると、柱や梁をできるだけ活用。天井裏で見つかった『嘉永元年三月』の墨書き文字が宿泊客から見えるように工夫した。

 伝統工法で建てられた持ち味を生かすとともに、現代の人が居心地の良さを感じられる空間に仕上げるのに苦心したという。玄関部は青い笏谷石を新たに敷き詰め、三国らしさを強調した。

 同プロジェクトを運営する会社Actibase(アクティベース)ふくいの担当者は「まだ家具は入っておらず引き渡しは10月以降。2階窓からは三国祭の山車(やま)巡行を見ることもできるようにするなど、三国の風情や風土を感じられるような造りになっている」と話している。

 北本町3丁目にオープンするレストラン棟も改修中で、町家ホテルと合わせ11棟すべてが10~12月に順次完成し、1月のオープンを目指す。

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