栗スイーツ3種発信 茨城・笠間のうなぎ店が開発 都内の2社とコラボ

モンブランなどの商品開発でコラボした「City Lites」社の人たちと肩を組む馬場万作さん(中央)=東京都大田区(馬場さん提供)

茨城県笠間市のうなぎ料理店「量深(りょうしん)」の店主、馬場万作さん(51)が、市の特産物「栗」の活用と魅力発信に一役買おうと、東京の菓子製造会社などの協力を得て、笠間の栗をふんだんに使ったオリジナルレシピのモンブランなど3種類のスイーツを開発した。10月中旬にも「笠間マロン堂」の店名でECサイトでのオンラインショップを立ち上げ、販売を始める。

開発した栗スイーツは、モンブランとパウンドケーキ、ジェラート。特にモンブランは、4~6人分を想定した重箱型のパッケージに詰めたスタイルで、「ふたを開け、ぎっしり詰まったモンブランに幸福感を感じてもらう」(馬場さん)趣向だ。

同市は、栗の生産量が日本一。その特色を地域振興に生かそうと、市は「栗のまち」のPRに力を注ぐ。栗ペーストを作る公共の加工施設も、新たに整備され、市内にはモンブランなど栗を使ったスイーツを商う店も増えている。馬場さんも、本業との「二刀流」で、新規参入する形だ。

馬場さんは2年前、コロナ禍で苦境に陥っている東京の飲食業者を支援しようと、「きずなプロジェクト」を立ち上げ、活動してきた。笠間の栗を支援物資とし、2021年には栗の実を、22年には栗のペーストを、都内の飲食店に届け、店の提供メニューに使ってもらった。今回の商品開発も、同プロジェクトの一環で、今までより一歩進んで、栗スイーツの開発に乗り出した。

モンブランとパウンドケーキは、洋菓子の製造卸販売会社「City Lites」(東京)、ジェラートは、「VITO JAPAN」(同)が渋谷の商業施設「SHIBUYA109」に出店するジェラート店とコラボして開発した。いずれも馬場さんから提案し、レシピづくりから一緒に取り組んだ。

商品開発にかけた時間は3カ月間で、集中して取り組んだ。馬場さんは本業の仕事が終わった後、自らスイーツの試作を繰り返し、東京にも毎週のように通った。試作レシピを書き留めたノートは3冊になった。

オンラインショップ「笠間マロン堂」で販売する開設費用などに充てるため、9月末までを期間とし、20万円の目標金額を掲げ、クラウドファンディングでの資金支援を呼びかけ、既に目標額を達成した。リターン(返礼品)は、3種のスイーツ商品の組み合わせで10種類を用意。商品の先行販売を兼ねている。

馬場さんは「費用が幾らかかっても、まずはうまいものを作る。それを徹底した」という。2社とは声をかける以前は、何のつながりもなかったが「今思えば、同じ中小企業で、コロナ禍を経験した同士、気持ちが分かる。助け合いの精神が根付いていた。だから熱量で完成にこぎ着けた。胸を張れる自信作ができたと思う」と話している。

お重入りのモンブラン

© 株式会社茨城新聞社