青葉被告「国家財政の破綻」案じて経済財政担当相にメール 「国民気付いていない」とも、被告人質問で説明

事件前の青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第4回公判が11日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で始まった。前回の審理に引き続いて青葉被告の弁護側による被告人質問があり、2008年ごろ、青葉被告は国家財政の破綻を案じ、当時の経済財政担当大臣だった衆院議員の故与謝野馨氏へメールを送信していた、と説明した。

 これまでの公判で弁護側は、青葉被告はこの頃、女性宅への侵入事件で執行猶予判決を受けた後で、郵便局で配達のアルバイトをしていた、と説明していた。弁護側は、青葉被告は2019年の京アニ事件当時、妄想性障害の影響で心神喪失か心神耗弱の状態にあったとし、無罪か刑の減軽を求めている。

 被告人質問での青葉被告の説明によると、メールには「国民はまだ気付いていない」と記した、という。他にも、財政破綻をして「国家緊急事態宣言」を発出する状況になれば、(与謝野氏は)国会議員の職を失う▽「辞任すれば、あなた(与謝野氏)は助かる」―などの趣旨を送信した、という。青葉被告は「(与謝野氏側から)返信があったかどうかは分からないが見たと思う」と述べた。青葉被告は説明を補足しようと、空中で絵を描くように右手を頻繁に動かしながら冗舌に語り続けた。

 弁護側は5日の初公判で、犯行は「青葉被告の人生をもてあそんだ『闇の人物』への反撃だった」と訴えた。青葉被告は罪状認否で「事件当時は、こうするしかないと思っていました」と述べた。

 検察側は冒頭陳述で、妄想に支配された末の犯行ではなく、「筋違いの恨みによる復讐」と指摘。被告には事件当時、完全責任能力があったと主張している。

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。

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