朝乃山、関脇を連破 初日若元春、2日目琴ノ若 大相撲秋場所

  ●三役奪還へ「引きずり降ろす」

 大相撲秋場所(両国国技館)2日目の11日、西前頭2枚目の朝乃山(富山市呉羽町出身、富山商高OB、高砂部屋)は東関脇琴ノ若(佐渡ケ嶽部屋)を上手投げで下し、初日から2連勝とした。窮地から執念の粘りで大関候補を豪快に投げ捨て、意地を見せつけた。「関脇、小結を引きずり降ろさないと三役には上がれない」。逆境をはね返した元大関が三役の座を奪い取る覚悟を示した。

 大歓声と大きな拍手が会場を包んだ2日目。土俵を下りる朝乃山の表情には安堵(あんど)と充実感がにじんだ。

 元大関と、大関を狙うホープが幕内土俵で初めて顔を合わせた。先に手をついた朝乃山。鋭い立ち合いから左上手を狙うも、いなされてバランスを崩す。朝乃山の反応は早かったが、相手の喉輪にのけぞり、攻め込まれると土俵際。窮地に追い込まれながらも、素早く足を運び、左上手を引くと一気に前へ。相手に残されたが、すかさず豪快な左上手投げで仕留めた。

 朝乃山は「大相撲は番付が生き物。格上の相手に胸を借りるつもりでいった」と振り返った。

 新型コロナウイルス禍の最中に起こした不祥事以降、賛辞を贈ることが少なかった八角理事長(元横綱北勝海)も「腰を下ろして、残すんだという気持ちが強かった。自信につながるのではないか」と評価した。

 初日の西関脇若元春(荒汐部屋)に続き、大関候補に名乗りを上げる関脇2人を撃破した。最初の難関を突破した朝乃山は「三役を目指す以上は関脇、小結に負けられない」と力を込める。現在は3大関、3関脇、2小結の布陣となっており「三役は混戦なので、なかなか上がれない」と険しい道のりであることを強調する。

 3日目は新小結の錦木(伊勢ノ海部屋)と組まれ、三役陣との連戦が続く。錦木は先場所で10勝を挙げて殊勲賞を獲得し、三役昇進を果たした。過去の対戦成績は6勝2敗で朝乃山に分があるが、最後に対戦したのは2019年5月場所で、約4年ぶりの対戦となる。

 強敵を下した朝乃山は取組後の取材で反省の言葉も多く並べた。「左上手が早くほしい」。得意の右四つとする万全の相撲はまだないが、体の柔らかさと恵まれた体格を生かした力強い相撲で存在感を示し、2桁勝利へ星を並べる決意だ。

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