原発事故の避難時間調査 東海第2 茨城県、業者に委託

直線で10キロほどの常陸太田市の西山公園からも確認できる東海第2原発(中央奥)と東海原発(右奥)=同市新宿町(2022年3月撮影)

日本原子力発電(原電)東海第2原発(茨城県東海村白方)の重大事故に備えた広域避難計画の実効性確保に向け、県が原発30キロ圏の住民の圏外避難にかかる時間に関する推計調査を専門業者に委託したことが11日、分かった。業者は原電が県に提出した放射性物質の拡散シミュレーション(予測)などを活用し、来年3月末までに調査結果をまとめる。

委託先は、原子力災害の避難時間推計などを業務とする構造計画研究所(東京)。プロポーザル(企画提案)形式の事業者選定を経て、8月に契約した。委託費は約6千万円。

県原子力安全対策課によると、同社は昼夜人口や避難経路、道路の状況、車両保有台数などのデータを収集。拡散シミュレーションで推測される避難者数を活用し、避難に要する時間を調べる。平日朝の通勤時間帯や荒天時の夜間といった複数の条件下で推計し、避難が長時間化した場合の要因も分析の上、交通規制や信号機の制御など対策案も報告する。

避難計画で、住民は原則、自家用車での避難が想定されている。移動手段がない高齢者や自力で動けない要支援者らは、自治体が準備したバスや福祉車両を利用するが、道路の渋滞が懸念されている。

県は調査結果を踏まえ、自治体など関係機関と協議して、避難経路の見直しや渋滞緩和策などを検討する方針。

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