経済ジャーナリスト・荻原博子さんが講演 やましんレディースセミナー

講演する荻原博子さん=山形市・やまぎん県民ホール

 各界の第一線で活躍する女性を講師に迎える「やましんレディースセミナー」(主催・山形新聞、山形放送)の2023年度第4回例会が11日、山形市の県総合文化芸術館(やまぎん県民ホール)で開かれた。経済ジャーナリストの荻原博子さんが「荻原式 知ってトクするお金との付き合い方」と題して講演。老後の二大不安とされる医療と介護費用の話を交え、「健康で長生きすることが節約につながる」と強調した。以下は講演要旨。

 皆さんにとって今の一番の悩みの種は、家計への負担が大きいガソリン代の高騰ではないか。値上がりの理由はウクライナ戦争に加え、円安がある。ガソリンだけでなく、10月からは電気やガス代もさらに上がりそうだ。エアコンや掃除機は起動時が最も電気代がかかるので注意して使うことがお勧め。帰宅時に暑い時は、冷蔵庫で冷やしたぬれタオルで首、手首、足首を冷やすのもいい。携帯電話も下げ止まりから反転する可能性がある。格安携帯に変更したり、有料アプリを見直したりしてはどうか。

 老後、お金で不安に感じるのは病気になった際の医療と、介護の費用という声が多く聞かれる。日本は国民皆保険制度があるので患者の負担が減る仕組みとなっている。例えば、医療費が3割負担の働き盛りの人が、1カ月で100万円の治療費がかかったとすると負担は30万円となるが、高額療養費制度を使うと9万円弱で済む。今の健康保険制度が揺るがなければ、老後、夫婦で200万円ぐらいあれば、しっかりとした治療が受けられる。

 介護費については、1人3千万円かかると言われた時代があったが、今は介護保険を使えば、平均500万~600万円あればいい。夫婦で1千万円から1200万円となる。さらに健康で長生きすれば医療費や介護費が少なくて済み、節約になる。

 世の中に、うまい話は転がっていないと肝に銘じてほしい。保険は自分のライフスタイルに合わせ、投資は自分がリスクを背負える範囲で考えよう。「割れ鍋にとじぶた」ということわざがあるが、夫婦で欠点を補い合い、相談しやすい関係性があれば、詐欺などにも遭わない。「お一人さま」であれば、子ども、友人、近所の人と相談すればいい。将来のお金のことを話し合い、素晴らしい老後にしてほしい。

介護や医療費など老後の不安解消につながるアドバイスをしたやましんレディースセミナー=山形市・やまぎん県民ホール

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