322億円の収支不足…さいたま市が来年度予算編成方針 公共施設の老朽化など影響、さらに膨らむ可能性も

さいたま市役所=埼玉県さいたま市浦和区常盤

 埼玉県さいたま市は11日、2024年度の予算編成方針を発表し、322億円の収支不足を見込むと明らかにした。19年度当初予算以降の試算では過去最大の規模。市財政局長が同日、「これまで以上に厳しい予算編成が想定される」とし、歳出削減と歳入確保を徹底するなどの予算編成方針を各局に通達した。

 市財政課によると、歳入は人口増による市税収入の増加を見込む。一方、歳出は保育など扶助費を中心とした義務的経費や、学校を含む公共施設の老朽化による普通建設事業費が増加し、収支不足は322億円と見込まれた。予算編成時、さらに膨らむ可能性があるという。中期試算では、義務的経費の増加など同様の傾向が続き、28年度の収支不足は414億円を見込む。

 市はポストコロナを見据え、重要政策として、子ども・子育て世帯への支援強化、ゼロカーボンシティの実現に向けた脱炭素の加速化などを挙げた。収支不足額を圧縮するため、既存の事業全般にわたり、これまで以上に大胆な見直しと優先順位付けの徹底、創意工夫による経費節減などで、限られた財源を効率的、効果的に活用するとしている。

 23年度当初予算の収支不足は199億円で、市は貯金に当たる財政調整基金を取り崩した上、特例的な市債を活用した。24年度も同様に対応する方針。財政調整基金は22年度末の時点で376億円で、23年度に124億円を取り崩す予定という。

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