台風13号に伴う大雨の影響で道路が通行できなくなり、孤立状態となっている茨城県日立市十王町高原の沢平地区に12日、県の防災ヘリコプターが1週間分の救援物資を届けた。県災害対策本部によると、県全体の建物の浸水被害は11市町村で849棟となった。
沢平地区は唯一つながる市道の複数箇所で土砂崩れが発生して通行できず、8世帯が孤立状態となっている。断水し、飲み水が不足していることから、県と市は防災ヘリで市中心部と6往復し、1週間分の水と食料を届けた。
住民17人の健康状態に問題はない。市によると、緊急車両が地区に行けるように市道の土砂の除去作業を進めており、早ければ13日にも通行できる見込み。
12日午後5時現在、県内の大雨に伴う軽傷は新たにひたちなか市の40代男性が加わり、計2人となった。
住宅被害は床上浸水が7市村で352棟、床下浸水が11市町村で477棟。関根川が氾濫した高萩市で床上浸水が162棟、床下浸水が265棟と被害が目立つ。避難所は、北茨城市の1カ所で6人が避難を続けている。
住宅以外では、高齢者施設の床上浸水が高萩など4市村で7棟。障害者施設は日立市と北茨城市で床上浸水が3棟、高萩市で床下浸水が1棟となっている。
一般道路は土砂崩れがあった高萩市安良川の国道461号など計6路線で通行止めが続く。
県教委によると、臨時休校が続いていた日立市立中里小中学校と高萩市立松岡小学校の2校は13日に授業を再開する。
東日本高速道路(ネクスコ東日本)は、災害ボランティアの車両を無料とする措置を始めた。ホームページから事前申請で得た通行証明書や身分証明書、被災地での活動が確認された車両は11月30日まで高速道路など有料道路が無料で通行できる
■福島沖の遺体、茨城・日立の男性と判明
福島海上保安部は12日、福島県いわき市沖で11日に漂流しているのが見つかった遺体の身元が、台風13号の大雨で行方不明になっていた茨城県日立市の40代男性と判明したと発表した。歯の記録で特定したといい、司法解剖して死因を調べる。
福島海保によると、遺体は11日午前、いわき市の勿来漁港から東南東約12キロの沖合で発見された。着衣はなく、身元を示す所持品もなかった。
茨城県災害対策本部は災害との関連を調べている。司法解剖で死因が分かり次第、判断するとしている。
男性は8日夜、勤務先に「車が水没し、仕事に行けない」と電話した後、連絡が取れなくなっていた。