【台風13号】水や食料、住民安堵 茨城・日立の沢平地区 高齢者「ありがたい」

水や食料の救援物資が届き、安堵の表情を浮かべる住民ら=12日午後3時29分ごろ、日立市十王町高原の沢平地区

8世帯が孤立状態となっていた茨城県日立市十王町高原の沢平地区に12日、県の防災ヘリコプターで水と食料が届けられ、住民たちに安堵(あんど)が広がった。同日午前には、民間企業が敷地の一部を開放。街へ下りる唯一の市道では、急ピッチで復旧工事が進んでいる。断水は続いているものの、住民は「多くの方々が助けてくれた」と支援に笑顔を見せた。

同地区にはこの日、県備蓄の水300リットルと、市備蓄のアルファ米やビスケットなど1週間分の災害食が届けられた。県防災航空隊が、同地区と市消防本部の間を6往復。午後3時ごろまでに全ての物資が届けられた。

地区上空に県防災ヘリが最初に到着したのは午前9時50分ごろ。隊員2人が開口一番、「体調は大丈夫ですか」と住民に声をかけた。地区で暮らす80代女性は「これで安心」と笑顔を浮かべた。

同日午前には、近くの民間企業が敷地の一部を開放。日中限定で、軽トラックなど車高の高い車両に限られるものの、敷地内の林道を通って街へ下りられるようになった。家族の送迎のため4日ぶりに地区外に出たという男性(65)は「とてもありがたい」と喜んだ。

土砂崩れが起きた市道ではこの日、倒壊した電柱などを復旧するため工事を実施。そのため、同地区は午後1時から停電となっていたが、市職員が林道を通って発電機8台を運搬し、停電状態が解消された。

市職員は各世帯を訪問し、「どこか痛むところはありませんか」「お薬がなくなっていませんか」と住民の健康状態に関する聞き取り調査も実施した。

同地区は9日昼までに地区内に敷設されていた簡易水道が断水。管理する事業者によると、12日時点で原因を特定できず、復旧は早くても13日以降になるという。

市は12日、同地区から街へ下りる唯一の市道の復旧工事に着手。1.6キロ区間をふさいでいた土砂の大部分は同日中に道路脇に寄せられ、早ければ13日にも通行止めが解除される見通し。この市道で同地区とつながる藤坂地区では、県道と広域農道に出る別の市道の通行止めが解除された。

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