巨大岩石で地震再現 茨城・つくばの防災科研 世界最大級装置

防災科研が公開した岩石摩擦装置=12日、つくば市

防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、地震を引き起こす断層のずれを二つの巨大な岩石を使って再現できる世界最大規模の実験装置を開発した。さまざまな地震を再現できるため、発生のメカニズムの解明につながるとしている。12日、報道陣に公開した。

装置は、長さ約7メートル、幅0.5メートルの二つの岩石を重ね、断層に見立てている。ジャッキで上から最大1200トンの圧力とともに横からの力を多くのパターンでかけることができる。

断層に当たる接触面の面積は約3平方メートルの世界最大規模。装置の大型化によって、より実際の断層に近いデータが得られるという。マグニチュード7など巨大地震の断層スケールへのデータ反映や、南海トラフなど複雑な巨大地震発生様式の再現が期待される。

従来の装置は岩石が小さく、接触面が1平方メートルに満たず、連鎖する地震を再現できなかった。

新たな装置の制作費は約4億円。昨年設計を始め、今年3月に設置した。

この日の実験では、上から約300トンの力をかけ、横から秒速0.01ミリメートルで移動させる力をかけた。約15分間に100回の地震を発生させ、岩石の接触面の摩擦などを調べた。

二つの岩石の接触面がずれて地震が発生すると「バン」と大きな音が響いた。同研究所の山下太主任研究員は「過去の履歴だけでなく、観測情報と物理法則に基づく地震予測に役立てたい」と話した。

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