ピークから志願者8割減 青森県警、人材確保に知恵絞る

インターンシップで、県警鑑識課の職員(右)にこつを教わりながら、犯人の似顔絵の作成に挑戦する学生=8月31日、県警察学校

 少子化や若者の県外流出などを背景に、青森県警の警察官志願者数が低迷を続けている。県警警務課によると、2022年度の大卒の採用申込者数は、前年度比28人減の183人(男性143人、女性40人)で、ピークだった02年度の1086人(男性841人、女性245人)からは8割減となった。県警は語学などの資格を持つ受験者に加点する制度を設けたり、体格基準を撤廃するなど人材確保に知恵を絞っている。

 同課によると、柔道や剣道で3段以上を持つ「武道指導枠」を除く大卒の受験申込者数は、18年度が292人(男性225人、女性67人)、19年度211人(男性172人、女性39人)、20年度218人(男性174人、女性44人)、21年度211人(男性166人、女性45人)。本年度は男性の申込者が100人を切っているといい、さらに減少する見込み。

 高卒の申込者数も同様に減少傾向で、18年度は411人(男性307人、女性104人)だったが、22年度は287人(男性216人、女性71人)となった。

 県警は受験者の間口を広げようと、15年度には、男性で身長約160センチ以上などと定めていた体格基準を撤廃。22年度からは、外国語の検定など語学資格を持つ受験者に加点制度を設けた。また、通年で説明会を開いたり、今春には採用情報に特化したインスタグラムのアカウントを開設するなど、就活生への積極的な情報発信も行う。

 一方で就職後のミスマッチや早期離職も課題となっており、近年はインターンシップにも力を入れる。

 大学生向けのインターンシップは昨年から、日程をこれまでの1日から5日間に変更。刑事、生活安全、交通、警備、警務の各部の業務をじっくり体験してもらうことで、多彩な警察業務に理解を深め、やりがいを感じてもらうのが狙いだ。

 8月下旬、県警察学校で行われた大学生向けのインターンシップには、県内外から男女14人が参加。刑事部門の講座では、空き巣被害が発生した想定で、現場の鑑識作業や聞き込み、犯人の特定、任意同行、取り調べといった逮捕までの一連の作業を体験した。

 参加した中畑向成さん(東北学院大3年)は「リアルな警察の仕事を勉強できた。実際に刑事さんと話をすることで、親近感や具体的な仕事のイメージも湧いた」と話した。

 同課の洞内友美次長は「受験者が減っても、正義感や熱意があるなど、求める人材は変わらない。『警察はきつい』といった学生が持つマイナスイメージや不安を解消していきたい」と語った。

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