重度障害の少女、性被害か 保護者への相談対応「不適切」 埼玉・伊奈町、支援などで遅れ

伊奈町役場=埼玉県伊奈町大字小室

 12日に行われた伊奈町議会の一般質問で、重度の障害がある町内の女子生徒(15)が、町内の重症心身障害児放課後デイサービスから帰宅した際、性被害の痕跡があったと指摘された。質問した大沢淳議員(共産)は性的虐待について相談を受けた町の対応が不適切だったとして、是正を促した。

 大沢議員らによると、女子生徒は今年5月2日、町外の県立特別支援学校から放課後デイを利用し、帰宅した際に被害が確認され、保護者が学校に相談。同校の教頭から町に報告したものの、町は「警察案件」と判断し、保護者には連絡を取らなかった。女子生徒は話すことも自分の意思で手足を動かすこともできないという。

 厚労省が定める「市町村・都道府県における障害者虐待の防止と対応の手引き」では、障害者への虐待の疑いがある場合は、障害者虐待防止法にのっとり自治体が調査をすることになっている。町は保護者からの要請で同月17日、上尾署への相談に同行。その後、女子生徒は医療機関で診察を受け「外的圧力があった」との診断を受けた。

 大沢議員は「被害届の支援や行政としての告発など、もっと早期に対応する必要があったのではないか」と追及。これに対し町健康福祉統括監は「情報が不足していて、デリケートな内容だったので慎重になっていた」と答弁した。

 町社会福祉課は「いつ、何が起きたのか不確定のため、虐待の疑いのケースとして対応していく」としている。

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