青葉被告、埼玉のJR大宮駅で大量殺人計画も「人が少なかったからやめた」 

青葉真司被告

 36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション第1スタジオ(京都市伏見区)の放火殺人事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の第5回公判が13日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で開かれた。青葉被告は事件1カ月前、秋葉原無差別殺傷事件を参考に埼玉県のJR大宮駅で大量殺人を計画したものの、実行しなかった理由について「駅に行ったが人の密集度が少なく、大きな事件にならないと思ってやめた」と述べた。 

 検察側は5日の初公判で行った冒頭陳述で、青葉被告は携帯電話を解約し、精神科へ通院しなくなる中で、2019年6月18日、ホームセンターで購入した包丁6本をJR大宮駅に持参し、無差別殺傷事件を起こそうとした、と指摘していた。 

 この日の被告人質問で青葉被告は、大量殺人を計画した理由について「京アニから離れたかったが、メッセージ性を込めた犯罪をやらないと離れられないと思った。大きなことをやらないと、京アニが自分の小説をパクったりパクったことを匂わせたりすることをやめないのではないかと思った」と述べた。

 公判で弁護側は、青葉被告が京アニ事件を起こしたのは「人生をもてあそんだ『闇の人物』への反撃だった」と主張。事件当時の青葉被告は妄想性障害の影響で心神喪失か心神耗弱の状態だったとして、無罪か刑の減軽を求めている。検察側は、妄想に支配された末の犯行ではなく、「筋違いの恨みによる復讐」と指摘。被告には事件当時、完全責任能力があったとしている。 

 起訴状によると、青葉被告は2019年7月18日午前10時半ごろ、京都市伏見区の京アニ第1スタジオに正面玄関から侵入し、ガソリンを社員に浴びせてライターで火を付けて建物を全焼させ、屋内にいた社員70人のうち36人を殺害、32人に重軽傷を負わせた、などとしている。 

 

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