【台風13号】茨城県内大雨 災害ごみ個別回収 日立 高齢地域など優先

あふれる災害ごみ解消のため、地域ごとの回収が始まった=13日午前10時31分、日立市白銀町

台風13号の影響による大雨の浸水被害で、茨城県日立市は13日、住宅から出される災害ごみを地区単位で個別回収する取り組みを始めた。市内4カ所に開設された仮置き場まで自力で運ぶのが難しい住民も多いためで、県産業資源循環協会と協力して実施。被災者からは「やっと片付く」と安堵(あんど)の声が上がった。

この日の回収作業は、氾濫した宮田川沿いの同市白銀町で実施された。地区内の被災者は、災害ごみを1カ所に集約。回収場所では、泥で汚れたテレビや冷蔵庫、家具、食器などが胸の高さまで山積みとなった。

市内の廃棄物専門業者が午前10時ごろから作業に着手。住民たちが見守る中、可燃ごみやリサイクル品などに分別しながら次々にパッカー車やトラックに積み込んだ。

災害ごみの回収場所として庭先を提供した滝悦子さん(75)は、地域の窮状について「高齢者が多く、車を運転できない人もいる。市の仮置き場は近いけれど、水でぬれて重いごみは運べない」と話した。回収作業後は「すっきりしたけど、まだまだごみは出る」と語り、浸水被害を受けた自宅の片付けに戻った。

床上浸水の被害があった親類宅で片付け作業をしていた及川美和さん(49)も「まだ畳の上に土が残り、手つかずの場所も多い。全部外に出さないといけない状態なので回収は本当にありがたい」と話した。

局地的な被害が市内の広範囲で発生した同市では、トラックを持っていない住民などから回収を望む声が多く寄せられている。このため、市は災害ごみの迅速な処理に向けて、同協会に災害協定に基づく応援要請をしていた。

個別回収の対象は、高齢者が多かったり、大型車の進入が難しかったりする地域。一軒一軒回収に回るのは難しいため、住民の要望を踏まえながら当面は地区単位で行う。自力で運搬できる市民には、引き続き市内4カ所の仮置き場の活用を呼びかけている。

市資源循環推進課は「被災者ができるだけ早く元の生活に戻れるよう丁寧に対応していきたい」としている。

■被災4地域で回収 高萩市

高萩市は16日から、災害ごみ運搬が難しい市民を対象に巡回回収を始める。浸水地域で回収を進め、市民生活の早期正常化を図る。対象地域は、関根川など河川が氾濫した高戸、肥前町、下手綱、上手綱の4地域。分別した上で回収しやすい道路脇に置けば、トラックが巡回して回収する。

市は現在、高北清掃センター(北茨城市中郷町小野矢指)と旧高萩リサイクルセンター(高萩市赤浜)で災害ごみを受け入れている。市環境市民協働課によると、9~13日までの5日間で両センターへの搬入車両台数は延べ1248台。しかし、住民の一部からは9日以降、市に「運ぶ手段がない」「自家用車では運べない」など災害ごみ回収を求める電話が1日20件以上かかっているという。

災害ごみを数十回運んだという同市下手綱の70代男性は「車が廃車になった人もいて、ごみを運ぶのが難しい人もいる」と語った。

■仮置き場の容量確保へ 北茨城市

北茨城市の災害ごみ仮置き場となっている旧市清掃センター(同市関本町関本中)では13日、搬出先が決まらない家電や不燃ごみで収容スペースの約半分が埋まった。市は16日からの3連休でさらに搬入を見込んでおり、一部を高北清掃センター(同市中郷町小野矢指)へ移す方針という。

県によると、同市内の被害は13日午後6時現在、床上浸水が259棟、床下浸水は194棟で県内最多となっている。

市によると、持ち込まれた可燃ごみは、既に高北清掃センターで処分を開始。両センターでは大雨後の5日間で推定500トンの災害ごみが持ち込まれたが、不燃ごみや家電などの搬出先はまだ決まっていない。市は、旧清掃センターの受け入れ量を広げるため、木材などを高北清掃センターに搬出する方針。

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