「幅広い選択肢知って」 進路の悩みに定時制・通信制を紹介 30日、長崎県庁でゆめおす特別講演会

「レールから外れても、幅広い選択肢があることを知ってもらえたら」と話す平田さん=長崎市馬町、県子ども・若者総合相談センター「ゆめおす」

 長崎県子ども・若者総合相談センター「ゆめおす」は30日、進路に悩む中学生や進路変更を検討している高校生、保護者らを対象に定時制・通信制高校などについて紹介する特別講演会を県庁で開く。同センターの相談支援員、平田涼さん(31)は高校を中退し、ひきこもり生活をした自身の経験を踏まえ、「レールから外れても、幅広い選択肢があることを知ってもらえたら」との思いを強くする。
 長崎市内の厳格な家庭で育ったという平田さんは「親が決めた」進学校の公立高校に入学。だが授業についていけず、1年生の6月ごろから学校を休むように。強引に学校に連れて行かれたり、「病気だ」と精神科の受診を勧められたりしたことで両親や学校への不信感を募らせ、約1カ月後に学校を辞めた。
 怒られるのが嫌で自室に閉じこもるようになり、友人らとも疎遠に。「外に出るのも怖くて、何もしたくなかった」。ほぼ寝て過ごし、両親が眠った深夜に台所にあるものを食べるといった生活がしばらく続いた。
 転機は2013年。母親が「ゆめおす」に相談したのがきっかけだった。家庭内で「腫れ物に触るような感じだったのが、母親が言葉をかけ、自分を認めてくれるようになった」。家族がいる居間で過ごす時間も少しずつ増え、親子関係に変化が生じた。平田さんもゆめおすに通うようになり、15年から相談支援員として働き始めた。
 ゆめおすが17年に始めた特別講演会を立ち上げ当初から担当。通信制高校では、面接指導(スクーリング)を月数日受ける以外は登校せずに、リポートを学校に提出して単位を取得するなど、本人に合った通い方や学び方が選べることを知った。「高校を辞める時に知っていたら、違ったかもしれない」と強く感じている。
 講演会では「心とからだ」などテーマごとに教育や医療福祉の専門家らが15分ずつ話し、定時制・通信制高校の在校生が学校生活などを紹介する。「本人が難しくても、保護者や周りの人だけでも参加してもらえたら」。平田さんはかつての自分を思い返しながら、悩みを抱える子らに情報が届き、進路選択に役立つことを願っている。
 特別講演会は30日午前10時から県庁1階大会議室とエントランス。入場無料、予約不要。定時制・通信制高校などの合同説明会(午前10時~午後3時半)も同時開催する。各校の情報をまとめたオリジナル冊子を来場者に配布する。「ゆめおす」(電095.824.6325)。

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