日本代表、10月の2試合は国内組にもチャンスを/六川亨の日本サッカー見聞録

[写真:Getty Images]

森保ジャパンはドイツに続きトルコも4-2と撃破した。日本はターンオーバーで、トルコは主力選手のケガなどで互いにベストメンバーではなかったものの、それぞれの“現在地”を確認できた、有意義な試合だったのではないだろうか。トルコは途中交代でインテルのMFチャルハノールが中盤に入ることで、細かい動き直しによりパスワークがスムーズになった。今シーズンからレンヌへ加入したCFユルドゥルムは、ストライカーらしい気の強さがうかがえたし、こぼれ球をきっちり決めて結果を残した。2人とも新シーズンの活躍が楽しみな選手でもある。

そんな日本対トルコの試合以上に気になったのが、U-22日本対U-22バーレーンの試合だった。日本は勝てばもちろん、引分けでも来年4月にカタールで開催されるパリ五輪アジア最終予選に進出できる。しかしバーレーンは伝統的に背が高く、フィジカルコンタクトの強い難敵だ。試合は日本が押し気味に進めながらもゴールを奪えず0-0のドローで終了。この結果、日本は2勝1分けで堂々のグループD首位通過を果たした。

むしろ意外だったのは、初戦でパレスチナがバーレーンに1-0と勝ったことだ。FIFAランクも94位と低い。ただ、パレスチナは2015年にオーストラリアで開催されたアジアカップに初出場すると(グループリーグで日本に0-4)、続く19年のカタールでのアジアカップにも連続して出場するなど、近年は急速に力をつけているようだ。今年11月から始まるW杯アジア2次予選では、どんな波乱があるのかこちらも楽しみである。

その日本代表についてである。10月は13日に新潟でカナダと、17日には神戸でチュニジアと対戦する。そして約1ヶ月後の11月16日、吹田でのミャンマーとマカオの勝者との対戦でW杯予選がスタートする。21日にはアウェーでのシリア戦も控えている(場所は未定)。

10月の2試合は“壮行試合”となるだけに、森保一監督もベストメンバーで臨みたいだろう。チケットを購入したファンはもちろんのこと、テレビで観戦するファンも、中継するテレビ局も、スポンサーとなる企業も三笘薫や久保建英らベストメンバーでの試合を期待するはずだ。実際、日本は海外組を抜きにしてチーム編成ができなくなっている。しかし、国内での2試合だけに、今回の海外遠征のように多くの海外組を招集する必要があるのかどうか一考の余地があるのではないだろうか。少なくともケガをしている選手には無理して招集する必要はないと思う。

例えば今回は招集されながらも何らかの理由で起用されなかった森下龍矢や、6月は招集されたもののケガで辞退した川村拓夢らを再招集して、国内組のセカンドグループの底上げを図るのはどうだろうか。同時期にはU-22日本も海外遠征が予定されているが、五輪チームとの融合を図りつつ選手層の拡充に充ててもいいだろう。ネックとなるのは、時期的に国内もJリーグは優勝争いと残留争いで佳境を迎えていること。このためチームによっては選手を出したくないと思うかもしれない。

それでも、現在の代表の1トップに大迫勇也がいたら日本の攻撃陣はどうなるのか。見てみたいと思うのは私だけだろうか。


【文・六川亨】

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