【台風13号】「市民に恩返しを」 高齢者宅復旧に協力 日立製作所野球部 茨城・日立

住民の男性(左)と共に、庭にたまった土砂を袋に詰める日立製作所の選手ら=14日午後1時56分、日立市助川町

台風13号に伴う大雨で浸水被害を受けた茨城県日立市で、市内企業が被災者支援に乗り出した。ものづくり産業が集まる「企業城下町」の同市。14日に高齢者宅に駆け付けた日立製作所野球部は「日頃の支援に恩返しを」と土砂のかき出し作業などに協力し、感謝で言葉を詰まらせる被災者と一緒に汗を流した。

この日の復旧作業に協力したのは、同市を拠点に活動する社会人野球・日立製作所野球部。和久井勇人監督やコーチ、スタッフを含め計36人が参加した。

市内の被害が明らかになった後、チーム内から「何かできないか」と声が上がり、同日から3日間のボランティアが決まった。初日は6グループに分かれ、浸水被害に遭った住宅で作業に当たった。

床下浸水の被害を受けた同市助川町の会社員、久保木安男さん(69)方では、野中祐也主将(31)など選手ら7人が活動。久保木さん宅は近くの山を流れる沢水があふれた影響で、庭一面に大量の土砂が流入。夫婦2人暮らしで、これまでは1人で片付け作業をしてきたという。

久保木さん方に到着した選手たちは、庭の芝を覆い尽くした土砂を前に「これは一人ではできない」「どこが底なんだ?」と被害の大きさに驚きながらも、水を含んで重くなった土砂を土のう袋に入れ、次々と運び出していった。

植栽が趣味で、25年ほどかけて現在の庭を仕上げたという久保木さんは、次々に作業する選手たちに驚き、「年内いっぱいはかかると思っていた。本当に助かった」と目に涙を浮かべた。

長年市内で暮らす在籍22年目の田中政則選手(39)は、これまでの社会人野球の試合などで市民から送られた応援を振り返りながら「多くの方々に応援してもらってきた。助けになれればという思い」と語った。

野中主将は「想像より大変な状況になっていた」と被災地の印象を語った。被災者からの謝意に「私たちも勇気づけられた。手助けになったのなら、それが1番」と語った。

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