厳寒期、栗子隧道内部に「氷筍」出現 米沢・神秘の美、観光の目玉に

氷筍による神秘的な光景が広がる栗子隧道=3月9日、米沢市

 厳寒期、山中の空洞にしみ出した水滴が地面に落ちて凍り付いてできる氷筍(ひょうじゅん)。米沢市と福島県を結んだ同市の栗子隧道(ずいどう)の内部に出現する神秘的な光景を冬季観光の目玉にしようと、米沢市の米沢観光コンベンション協会が新たなツアーを企画した。地元住民が協力し、来年の実施に向け、準備を進めている。

 栗子隧道は1881(明治14)年に開通した。氷筍は隧道上部からの水滴が地面で凍り付くことで成長し、中には人の背丈ほどに成長するものもある。明治期にできた隧道は劣化が進み、雪に埋もれる冬季間はかろうじて入り口が顔をのぞかせるが、内部は氷筍が並び立つ独特の景観が広がる。

 ツアーは来年2~3月にかけて予定している。今月6日には同市万世コミュニティセンターで、市観光関係者やガイドを担う住民らが集まり同市冬季観光コンテンツ造成会議を開催した。ツアーコースやタイムテーブル、必要な備品といった具体的な内容について検討し「参加者の体力に余裕があれば隧道から稜線(りょうせん)まで登ってはどうか」「参加しやすさを考え、開催日は土曜日に集中させよう」などと意見を交わした。

 米沢観光コンベンション協会の青木一成事務局長は「氷筍の知名度はあまり高くないが、自然を生かした立派な観光資源になりうる。安全面に十分配慮しながら、冬の米沢の魅力を多くの人に紹介していきたい」と話していた。

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