販売日本一奪還目指し、ノリの支柱立て本格化 佐賀県沖の有明海

ノリ養殖の網を張るための支柱を立てる漁業者=佐賀市川副町沖の有明海(撮影・米倉義房)

 佐賀県沖の有明海で、ノリ養殖の網を張るための支柱を立てる作業が本格化している。漁業者たちは長い支柱を船に積み込んで漁場に向かい、手作業で海中に設置。昨季は記録的な不漁で販売枚数、販売額の20季連続日本一を逃しており、奪還を期して準備を進めている。

 佐賀市川副町の戸ケ里漁港にはトラックに積んだ支柱が次々と運び込まれ、数十本を束にしてフォークリフトで船に積み込まれた。船が漁場に到着すると、長さ9~11メートル程度の支柱を漁業者が間隔を測りながら海中に突き刺していった。県有明海漁協によると、準備は9月1日から行われている。

 昨季は10月26日からノリの種付けを始めた。今季については運営委員長支所長会議や佐賀、福岡、熊本の3県の協議などを経て、10月に入ってから決定する見込み。

 昨季は小雨や赤潮による栄養塩不足での色落ちなどで、記録的な不作となった。漁場の改善につなげようと、佐賀県沖の有明海では海底耕運を実施。昨季に続き、プランクトンを補食するカキをノリ漁場に垂下する取り組みも10月ごろから予定している。

 7月に県内を襲った大雨で海に流れ着いた大量の漂着物は、引き揚げを終えている。漁業関係者からは「台風が来て支柱が傾いたり設置作業が遅れたりしないといいが」と、自然災害の影響がないよう願う声が聞かれた。同漁協南川副支所の漁業者の男性(42)は「海況がどうなるかはまだ分からないが、今季はやっぱり日本一を取り戻したい」と豊作を期待した。(古賀真理子)

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