37歳のセルヒオ・ラモスがプレーを続けられる理由とは? スポーツ科学専門家「一つだけ強調するなら…」

写真:セビージャに復帰したS・ラモス

セビージャに所属する元スペイン代表DFセルヒオ・ラモスは、現在37歳。一昔前であれば現役を続けていること自体が奇跡的とも思われるような年齢だが、スペインサッカー界のレジェンドは5大リーグでプレーし続ける道を選んだ。

実際、今夏の移籍市場ではサウジアラビア方面からセルヒオ・ラモスに対して巨額のオファーが舞い込んでいた。年齢を考慮しても、大金を受け取りつつサウジアラビアでプレーするという選択は現実的なものだという見方がメディア・ファンの間にあったのは確かだ。

しかし、セルヒオ・ラモスは“悠々自適”な選手生活を断り、あえて自身がプロデビューを果たした古巣であるセビージャへの復帰を決断した。過去の移籍の経緯や、レアル・マドリードの選手として凱旋を果たした試合での挑発行為によってウルトラス『ビリス・ノルテ』から激しい憎悪を向けられていたにもかかわらず、である。

これまでのところ、ラ・リーガで3試合を消化したセビージャにおいて、セルヒオ・ラモスの出場はない。ただ、3連敗で最下位に位置し、3試合で8失点と守備が崩壊しているセビージャは、近いうちにセルヒオ・ラモスの力を必要とすることになるかもしれない。

フットボール科学研究所(FSI)の共同創設者であり、サッカー界への科学応用のエキスパートであるベルナルド・レケーナ氏は、37歳のセルヒオ・ラモスを鉄人たらしめる要因について、スペインメディア『Relevo』で次のように語った。

「セルヒオの場合、遺伝学とエピジェネティクス、つまり栄養、ストレスコントロール、概日リズム(24時間における生物学的変数の振動)、社会的背景といった外的要因が選手寿命を延ばしていると考えられる」

「彼はさまざまな面でユニークだが、一つだけ強調するとすれば、その強じんなメンタリティだろう。自分自身を向上させ、昨日よりも良くなろうとするメンタリティ。何事も学び続け、日々目標を追求し続けるメンタリティだ」

レケーナ氏は、サッカー選手の引退を引き起こす要因や、40代になっても現役を続けることを可能にする理想的な回復習慣について研究している。

「この10年間における私たちの進歩はすさまじく、各選手の膨大な日常データを蓄積できるようになっている。選手のコンディションについてより詳しく知ることができるんだ」

「現在は、32~33歳以上の選手を対象に研究している。どのようにしてパフォーマンスを最適化し、長期にわたって維持できるかを考えているよ。課題なのは、年齢とともに選手のパフォーマンスが低下する要因を発見し、その悪化を防ぐ対策を講じることだ」

スポーツ科学のスペシャリストから見ても、セルヒオ・ラモスの肉体と精神は非常に充実したレベルにある模様だ。セルヒオ・ラモスのセビージャ“再デビュー”に、引き続き注目が集まる。

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