江戸時代の宮司用「輿」再現 絵巻を参考に伝統継承 長崎くんち

再現された「輿」に乗り込む吉村宮司=長崎市上西山町

 諏訪神社(長崎市上西山町)は、4年ぶりに開催される秋の大祭「長崎くんち」(10月7~9日)の機運を高めようと、江戸時代の絵巻を参考に、お下りとお上りで宮司が乗り込む「輿(こし)」を製作した。今年のみこし行列で、吉村政德宮司が乗り込み、お供する。
 絵巻は「崎陽諏訪明神祭祀図」(大阪府立中之島図書館所蔵)。1804~17年の間、当時の8代・青木兵庫介永鷹宮司が森崎のみこしの後ろで輿に乗る姿が描かれている。
 例年、宮司は馬に乗って行列に参加していたが、たびたび落馬事故が発生。安全面の確保や伝統継承などの理由から、吉村宮司就任後、絵巻に描かれた輿の再現を検討してきた。
 輿は全長3.6メートル、幅1メートル、高さ3メートル、重量約300キロ。輿の下部に車輪を付けた。今後、御簾(みす)がつくほか、金属部分には神幕(しんまく)が張られ、担いでいる様に見せる。
 15日、初めて輿に乗った吉村宮司は「200年前の長崎くんちの様子が再現され、またこれが(これから)伝統になればいい」と語った。当日は、海星高と瓊浦高の剣道部員と長崎諏訪流鏑馬(やぶさめ)奉賛会の計10人が引く。長坂では輿の上部を担ぎ、日銀長崎支店前からお旅所までの区間は宮司が乗り込み移動する。

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