人づくりからものづくり発進拠点へ 佐野の小学校跡地活用しオープン カフェやギャラリーなど整備

ギャラリーで、精密板金加工技術で作られた作品について説明する谷内社長

 【佐野】旧山形小(山形町)の跡地に、精密板金加工業のヤマダ(足利市富士見町)がこのほど、「ものづくり&アートヴィレッジ」をオープンさせた。校舎などを生かし工場や製品を展示するギャラリー、市民や観光客らが集えるカフェなどを整備した。同社の谷内浩子(やちひろこ)社長(61)は「ものづくりの魅力の発信はもちろん、人々が交流する拠点として地域の振興にも貢献したい」と意欲を見せる。

 2020年春、同校はあそ野学園義務教育学校に統合され閉校となった。その後、市は建物を含めた跡地の有効活用を図るため、公募型プロポーザル方式による選考を行い、同社を利活用者に決定した。

 同社はさまざまな金属材料に対応した「複雑で精緻な曲げ加工」などの優れた技術を有している。15年、谷内社長は企業の合併・買収(M&A)でトップに就任し、業務の見直しや新規事業の開拓に取り組み業績を伸ばしている。

 同校の跡地取得の理由について、谷内社長は「立地に周辺環境も良い。ものづくりの魅力発信やシェアオフィスの展開、市内外の人々との交流など、多様な取り組みが可能と考えた」と説明する。

 体育館に工場を整備し、校舎(教室)のリノベーションでは、「小学校だった当時の温かみが残るよう腐心した」という。

 同社の精密板金加工の技術で生み出したアート作品などを展示したギャラリーでは、さまざまな製品を手に取って質感などを感じながら楽しむこともできる。

 板金のオブジェで飾り、人気のデザイナーズチェアなどを配置したカフェは、地域や企業などの20人程度の会合にも対応可能という。

 谷内社長は「基本の枠組みは整った。今後は施策工房やワーケーションへの対応なども検討しながら、より充実した施設としていきたい」と話している。

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