伝統の魅力に触れ 「工芸都市 高岡の秋」開幕

4年ぶりに歩行者天国となった山町筋で記念撮影を楽しむ親子=高岡市小馬出町

  ●市内56会場で、山町筋は歩行者天国

 高岡市の伝統工芸を発信するイベント「工芸都市 高岡の秋。2023」は16日、高岡市の中心市街地などで始まった。市内56会場で繰り広げる「市場街(いちばまち)」は、メイン会場となる重伝建(重要伝統的建造物群保存地区)の山町筋が4年ぶりに歩行者天国となり、クラフト品の展示やワークショップ、飲食のブースがずらりと並んだ。来場者は高岡のものづくりや食、人を通して町の魅力に触れた。

 18日まで市場街が開催され、17、18日は重伝建の金屋町の魅力を伝える「ミラレ金屋町」(富山新聞社後援)が行われる。

 山町筋では、3日間で22ブースが出るマルシェ「ものの市」が初めて行われた。大学生らスタッフが市内の工房と協力し、廃業した鋳物工場の在庫品を着色して商品として並べた「縁起物商店」が注目を集めた。富大芸術文化学部2年の安藤史織さん(20)は「伝統の技と現代の感覚を組み合わせ、伝統工芸に親しんでもらえるようなデザインを心掛けた」と話した。

 富大生とともに端材を使ってアクセサリーやキーホルダーを制作するワークショップも好評だった。会社員の山本美咲さん(30)=上市町湯崎野=は「さびた端材に味があり、すてき。新旧入り交じった町並みも楽しめた」と語った。長女の葵依ちゃん(3)は「きらきらできれい」と笑顔を見せた。

  ●新メニューも登場

 飲食店が、食べ歩きできる、映える新メニューを提供する「味趣(みしゅ)の乱」も初めて行われた。7店舗がコロナ下のテークアウトのノウハウを生かし、ようかんに果物を入れたアイスバーや、昆布締めを使った弁当を出し、山町茶屋で和風パフェを食べた会社員、越田優里香さん(54)=高岡市木町=は「グルメが豊富だった」と話した。

 高岡の工房を自由に見学するオープンファクトリーも初めて実施された。赤レンガの建物(旧高岡共立銀行)が一般公開された。

 市場街は昨年度、地域の優れた行事をたたえるふるさとイベント大賞の内閣総理大臣賞に選ばれた。國本耕太郎実行委員長は「いろんな人と触れ合いながら、もの、建物、文化など、多彩な高岡の魅力を感じてほしい」と話した。

 仏具店「ハシモト清(せい)」は、白金町のスタジオ「ROLE」で、着色した在庫品の香炉に多肉植物「アガベ」を植えた作品など約120点を並べた。20日まで。

 山町筋は17日も歩行者天国となる。

ワークショップを楽しむ来場者
限定メニューを味わう来場者=山町茶屋

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