第68回「県展」開幕 西望平和賞は阿部さん 史上初、県知事賞の同時受賞者も

県展最高賞を受賞した阿部礼三さん(提供)

 長崎県内最大の美術公募展「第68回県展」(県、県教委、県美術協会、県文化団体協議会主催、長崎新聞社など後援)の実行委は16日、入賞・入選作を発表した。最高賞の西望平和賞は、長崎市小江原4丁目の歯科医師、阿部礼三さん(64)の写真作品「古都の風」に決まった。県展は17日、長崎市出島町の県美術館で開幕する。
 出品総数は前年より85点多い1364点。このうち、日本画23点、洋画113点、彫刻8点、工芸26点、書226点、写真253点、デザイン118点の計767点が入賞・入選した。
 本県出身の彫刻家、故北村西望にちなんだ西望平和賞は7部門の県知事賞の中から選出され、写真部門から選ばれるのは7年ぶり。「古都の風」は京都の三十三間堂で、眼前に広がった“偶然の一瞬”を切り取ったモノクロ写真。静謐(せいひつ)で品格あるアートと評され、阿部さんは「思ってもいなかった賞で驚いている」と喜んだ。
 洋画部門で40歳未満の新進作家に贈られる野口彌太郎賞は、同市水の浦町の県立長崎北高3年、畑田麗二さん(18)の「I am」。自分の中の人物像をデフォルメして表現し、群を抜いた存在感で評価された。畑田さんは「欲しかった賞。親や指導してくれた先生にも恩返しができた」とうれしさをかみしめた。
 日本画と洋画部門の県知事賞には、大村市武部町の自営業、森英一郎さん(64)の「太田尾のアコウ」と「咆哮(ほうこう)」がそれぞれ選ばれた。同じ人が2部門にわたって県知事賞を同時受賞するのは県展史上初。
 江副功実行委員長は「新型コロナ禍もあり出品数は年々減少傾向だったが、今年は高校生の出品が目立ち増加に転じた。話題の多い展覧会になり喜びを感じる」と話した。
 長崎会場は10月1日まで。その後、佐世保、諫早会場があり、移動展も新上五島町、松浦市で開催する。

© 株式会社長崎新聞社