男性でも乳がん可能性、2019年は全国で748人 症状、チェック方法を医師が解説

男性乳がんについて説明する田中文恵医師=福井県福井市の福井赤十字病院

 男性デュオ「バブルガム・ブラザーズ」のブラザー・コーンさん(67)が、自身のSNSで乳がんを公表した。女性の乳がんは乳房にある乳腺にできる。福井赤十字病院(福井県)の外科部長でがん診療センター副センター長の田中文恵医師は「男性にも乳頭の奥に乳腺のもとがあり、誰でも乳がんになる可能性はある」と説明。症状として乳頭近くの痛みを伴わないしこりを挙げ、自覚した時は早期に受診するように呼びかける。

 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)によると、2019年の男性の乳がん(上皮内がん含む)の罹患(りかん)者は全国で748人、福井県内では4人だった。田中医師によると一般的に50~70代の患者が多く、なりやすい年齢は女性よりもやや高めと言われている。

 早期発見のために、乳頭付近を触ってしこりがないかをチェックするといい。女性のように乳房がないため、小さなしこりでも発見できるケースがあるという。田中医師は「乳がんのしこりはできても痛くない。痛くない時こそ放置せず、しっかり調べた方がいい」と訴える。

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 男性乳がんの治療法は女性の場合とほぼ同じ。外科手術やホルモン治療、抗がん剤治療などを腫瘍の状態に応じて選択する。男性だからといって予後が悪いということはない。

 気になる症状があれば乳腺外科を受診する。同科の受診者は女性が多いため、抵抗のある人はまず、かかりつけ医に相談してみる。田中医師は「可能性は低いが男性でも乳がんになることを知っておいてほしい。乳がんに限らず、自分の体に関心を持ち、変化に気付くことが大事」と呼びかけた。

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