「見たことない虫だ!」実は準絶滅危惧種 園児発見、専門家も太鼓判 宇都宮の中村夏樹ちゃん

夏樹ちゃんが捕まえたアカマダラハナムグリ(和弘さん提供)

 【宇都宮】鶴田町、幼稚園年長中村夏樹(なかむらなつき)ちゃん(5)がこのほど、市内の雑木林で県版レッドリストに準絶滅危惧種として掲載されている昆虫「アカマダラハナムグリ」を見つけた。アニメよりも昆虫と植物が好きという夏樹ちゃん。父の和弘(かずひろ)さん(52)は「都会のタワーマンションに住んでいたら、興味を示さなかったかもしれない」と想像し、夏樹ちゃんの知的好奇心と鋭い観察眼を育んだ市内の自然環境に感謝している。

 アカマダラハナムグリはコガネムシ科の甲虫。体長2センチほどの小さな虫で、県内では平野部から丘陵部を中心に生息している。夏樹ちゃんは今月3日、市と鹿沼市境の雑木林でこの虫を発見した。連日のように両親と通う虫捕りポイントで「クヌギの樹皮が剥がれて樹液が出ている所にいた。見たことのない虫だった」と興奮気味に振り返る。赤茶色の背中に黒い斑点を持ったその虫は、和弘さんが写真を撮ってリリース。インターネットで調べると、アカマダラハナムグリらしいことが分かった。

 県立博物館で昆虫を担当する栗原隆(くりはらたかし)学芸員(46)は「間違いない。なかなか見つからない虫」と太鼓判を押し、「たくさんは見つけられないが、よく観察すれば見つかる可能性が高い」と説明する。オオタカなど鳥類との関わりが深い虫で、自然保護の意識の高まりもあって昔よりも増えている印象という。

 「最初に話した言葉が『はっぱ』だった」。母の麻有子(まゆこ)さん(43)は、夏樹ちゃんが1歳の頃のことをよく覚えている。植物に興味を持ち、和弘さんが虫捕りに連れていくと昆虫に夢中になった。将来の夢は、市内を研究フィールドにする昆虫と植物の博士。「宇都宮の森を増やしたい。森を壊す人がいたら、こらーって怒ってやる」と夏樹ちゃん。きょうも、市内の野山を無邪気に駆け巡っている。

夏樹ちゃんが捕まえたアカマダラハナムグリ(和弘さん提供)
昆虫と植物が大好きな夏樹ちゃん(中央)と和弘さん、麻有子さん

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