【速報】式典の記念品に「買い物券」、市長ら指摘受け返却「軽率だった」 京都・南丹

道の駅「京都新光悦村」で開かれた開業20周年式典(7月14日撮影、南丹市園部町)

 7月に京都府南丹市園部町の道の駅「京都新光悦村」であった開業20周年式典で、主催した園部町農業公社が、南丹市の西村良平市長と市幹部2人ら来賓に手渡した記念品に、3千円相当の買い物券などが含まれていたことが分かった。同公社は市から指定管理者に選ばれて長く同駅を運営しており、市長らは「受け取ったのは軽率だった」として、9月に返した。同公社は「儀礼の範囲と考えている」としている。

 式典は7月14日にあり、西村市長らに加え市議6人、農家や同公社OBら約30人が参加した。同公社は「感謝の気持ち」(永塚則昭理事長)として、出席者全員に同駅で使える3千円分の買い物券と市内の温浴施設利用券2枚(1500円相当)、餅(250円相当)、菓子(同)を渡した。

 同市では、国家公務員倫理規程などを参考に職員の行動の是非を判断しており、指定管理者からの物品受け取りは、同規定が禁じる「利害関係者から贈与を受けること」に当たる恐れがある。市人事課は「現段階で是非は判断できない」としつつ、利害関係者との間でも禁じられない「職務として出た会議での簡素な飲食の提供を受けること」に該当する可能性があるとした。

 京都新聞社の取材に西村市長は「社会儀礼の範囲と考え受け取ったが、疑問を持つ人もおり、軽率な考えだった」とした。部長2人も同様に答えた。

 同公社によると、西村市長と部長2人は9月上旬に買い物券と施設利用券を返した。市議は欠席した2人を含めて8人に渡し、全員が返却したという。

 同公社は2024年度からの指定管理者の募集にも手を挙げているが、永塚理事長は「指定管理で有利な取り計らいを受ける意図はない」と否定。市総務課は、指定管理者の選定は外部委員などが担い、市長らの意向は影響しないとしている。

 行政に詳しい同志社大の真山達志教授は「公務に就く者は、さまざまな価値観を持つ住民に責任を負っており、疑念を持たれない行為を心がけるべきだ。利害関係者や、利害関係者となる可能性を含む者からは、少額でも受け取らないのが良いのではないか」と指摘する。

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