樹木伐採、倒木死亡事故受け事後申請可に 十和田湖・奥入瀬渓流周辺(青森県)

 青森県十和田市の十和田湖畔の国道103号で今年5月、車が倒木に衝突し、運転していた男性が約3週間後に死亡した事故を受け、県は19日、十和田湖や奥入瀬渓流周辺の樹木の伐採に必要な国への許可申請を作業後に行うことを可能にするなど手続きを見直したと明らかにした。事後申請の導入により、本年度の点検で倒木の可能性があるとされた樹木約140本の伐採を例年より1、2カ月程度早い9月14日に完了した。

 19日の県議会建設常任委員会で、鶴賀谷貴委員(新政未来)の質問に答えた。

 奥入瀬渓流や十和田湖周辺一帯は「十和田八幡平国立公園」と「特別名勝および天然記念物」に指定されており、無許可での伐採が禁止されている。県は樹木医立ち会いの点検を行い、国の許可を得た上で、倒木の可能性のある樹木を毎年百数十本伐採してきた。

 ただ、緊急性が高い場合を除き、作業前の許可申請が原則とされていたため、伐採本数や樹種の確認など手続きに時間がかかっていた。

 事故を受け、県は環境省、文化庁、林野庁など関係機関と協議し、樹木医の判断に基づいた伐採に限って事後申請を可能とした。来年度以降は過去の伐採実績を基に伐採業者を点検時までに決めるなど手続きをさらに短縮し、8月末までの作業完了を目指す。

 また、事故現場の国道103号子ノ口-宇樽部間の点検頻度をおおむね2年に1回から1年ごとに見直すことも検討する。

 県県土整備部の永澤親兼部長は「国立公園の自然環境を守りながら利用者の安全を確保する必要がある」と述べた。

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