【CLグループB展望】アーセナル本命もPSV&セビージャにもチャンスあり

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2023-24シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)グループステージが9月19日に開幕する。グループBはアーセナルが軸となるが、PSVとセビージャにも十分チャンスがある拮抗した争いが予想される。

◆編集部予想

◎本命:アーセナル

○対抗:PSV

△連下:セビージャ

▲大穴:RCランス

◆7季ぶりの参戦で躍進目指す~アーセナル~

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今グループの本命は昨シーズンのプレミアリーグで王者マンチェスター・シティと熾烈な優勝争いを演じたポット2のアーセナルだ。

リーグ全体のレベルの向上によって長らくヨーロッパ最高の舞台から遠ざかっていたイングランドの名門だが、青年指揮官アルテタを先導役に堅実な歩みの末に7シーズンぶりの出場を決定。リーグ戦での20年ぶりの覇権奪還、CLの舞台での躍進を目指す重要なシーズンに向けてはMFライス、DFティンバー、MFハヴァーツ、GKラヤと各ポジションに実力者を迎え入れ、二足の草鞋に耐えうるスカッドを構築してきた。

ティンバーの長期離脱やハヴァーツのフィットの遅れと幾つかの誤算はあるものの、リーグ戦では開幕から4勝1分けの無敗と昨季同様に上々の滑り出しを見せる。そのため、ここ2シーズンで披露しているパフォーマンスを含め、間違いなく今グループをリードしていく存在となるはずだ。

ただ、ここからの超過密日程の中ではメンバーを固定する傾向が顕著な指揮官が、いかに柔軟なチームマネジメントができるかが重要なポイントとなる。とりわけ、やや手薄なディフェンスラインではCL初参戦となるDF冨安健洋のユーティリティー性がチームの助けになるはずだ。

◆PO突破の勢いにのってGS突破へ~PSV~

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実績やスカッドの厚さではセビージャに叶わないものの、現状のパフォーマンスや勢いを考慮し、オランダ屈指の名門をアーセナルの対抗とする。

クラブとの不和で昨季終盤に電撃退任したファン・ニステルローイ前監督の後釜に、国内外で経験を積んだボス監督を招へいしたPSV。ここまではその決断が功を奏し、昨季と同じ顔合わせとなったレンジャーズとの予選プレーオフでは見事にリベンジを達成し、2018-19以来のCL本戦出場を決めた。

今夏の移籍市場ではパリ・サンジェルマンに買い戻されたエースのMFシャビ・シモンズやノッティンガム・フォレストに引き抜かれたMFサンガレに加え、バックアッパー組がレンタル元に帰還。その一方で、FWロサーノやFWラングMFスハウテン、DFデスト、DFベラ=コチャプといった実力者を獲得。さらに、CL出場決定によって流出濃厚だったFWバカヨコらの慰留に成功したことで、世界最高峰の舞台でも十分に戦えるスカッドに仕上げてきた。

その証拠に国内リーグでは開幕4連勝に加え、13得点1失点と結果、内容ともに充実。また、昨季のヨーロッパリーグ(EL)グループステージで同居したアーセナルとは1勝1敗と互角の戦績を残しており、2015-16シーズン以来のグループステージ突破に期待が懸かる。

◆実績十分も開幕から不振…~セビージャ~

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昨季のEL王者としてポット1に入ったアンダルシアの雄だが、ラ・リーガでの不振によって3番手の評価とした。

ロペテギ、サンパオリと2人の指揮官を解任する混迷の昨季を送りながらも、シーズン終盤に就任したメンディリバル監督の下で最多7度目のEL制覇を成し遂げたセビージャ。とはいえ、昨季の12位という順位が物語るようにチーム全体の問題は完全には解決しておらず、今季のラ・リーガでは開幕3連敗という屈辱を味わった。

今夏の移籍市場では、良くも悪くも近年のリクルートを主導したモンチの“負の遺産”の整理を優先しつつ、MFソウやFWルケバキオ、MFスマレらを完全移籍やレンタルで補強。また、DFペドロサやFWマリアーノ、GKニーランをフリーで獲得した。さらに、移籍市場閉幕後はウルトラスの反発を覚悟した上で手薄なディフェンスラインにDFセルヒオ・ラモスを迎え入れる、賭けに出た。そのベテランDFはデビュー戦となった直近のラス・パルマス戦で1-0の今季初勝利に貢献し、ひとまず良い形で18年ぶりの復帰戦を飾った。

今グループステージではその“劇薬”が良い形で作用することを期待しつつ、爆発力に欠けるFWエン=ネシリら攻撃陣の奮起が突破のカギを握る。

◆21年ぶり参戦も苦戦必至~RCランス~

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2020-21シーズンのリーグ・アン昇格から見事な躍進を見せた古豪は、2002-03シーズン以来のCL本戦に出場する。

フランク・エズ監督の就任をきっかけにリーグ・アン昇格、2シーズン連続7位での1部残留と躍進を遂げたフランス北部に本拠を置くクラブは、昨季パリ・サンジェルマンと熾烈な優勝争いを繰り広げた末に2位フィニッシュ。望外のCLストレートインを決めた。

ただ、その躍進と引き換えに今夏の移籍市場では中盤に君臨していた主将MFフォファナがアル・ナスル、エースFWオペンダがRBライプツィヒに流出。代わってモンペリエの逸材FWワイを始め、MFディウフやFWコルテスといった若手有望株を獲得。さらに、モナコDFアギラールやレスターMFメンディ、DFマウアサといった即戦力を補強し、スカッドの拡充に務めた。

ただ、今季ここまでのリーグ戦では1分け4敗の5戦未勝利で最下位に低迷する想定外の序盤戦となっており、久々のCLに向けて大きな不安を残す。フランス代表GKサンバ、オーストリア代表DFダンソにガーナ代表MFサメドとセンターラインの主軸は健在なだけに、新エース候補のワイを含めた若手の台頭が待たれるところだ。

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