不動産屋に「駄菓子屋」オープン 学びと見守り「雷で動けない」もお任せ 壬生のリンク

菅野社長(左奥)と社員が事務所の一角に設けた駄菓子屋

 【壬生】落合1丁目の不動産会社「リンク」が、事務所の一角に設けた「駄菓子屋」が好評だ。子どもたちがお金の使い方を学ぶ場となる一方、けがをした子どもや雷でおびえて動けなくなっている子どもを社員が助けるなど、地域の見守り役も担っている。

 同社は菅野隼人(すがのはやと)社長(41)が家族と経営している。

 事務所は壬生東小に近く、店の前を通る子どもたちが多い。しかし2016年の開業以来、事務所を訪れるのは相談目的の来客が1日数人程度。「地域住民との接点を増やしたい」と、社員の発案で今年5月に駄菓子屋を開いた。

 児童たちの口コミで徐々に客数が増え、多い日には小中学生ら150人が訪れるようになった。社員たちは予想以上の反響に「こんなに子どもたちが来てくれるとは思わなかった」と喜ぶ。

 店頭に並ぶ駄菓子などの商品は現在219種類。品ぞろえや配置は、来店する子どもたちの意見を取り入れながら随時変更しているという。

 子どもや親子連れの姿が見えると、社員たちは「いらっしゃい」と笑顔で出迎える。18日に駄菓子を買いに来た子どもと訪れた父親は、帰り際「ここって不動産会社なんですね」と驚いていた。

 近くの横断歩道で転んでけがをした子どもに応急手当てをしたり、下校中に雷が鳴って動けなくなっていた子どもを社員が家まで送り届けたりと、子どもの見守り役も果たしている。

 菅野社長は「不動産屋に来るハードルを低くし、誰でも相談に来られる場所にしたかった。『駄菓子を買うために子どもたちが家の手伝いをする』と親御さんから聞く。町ぐるみで良い循環ができていると思う」と表情を緩めた。

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