「放置はマイナス」進む空き家の活用全国で850万戸…深刻な懸念も【現場から、】

誰も住まず、そのままにされている空き家。いまや全国で約850万戸に増えています。静岡県内では空き家のことで困っている人に寄り添った支援など、空き家のない社会を目指した取り組みが進んでいます。

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<家を買い取った業者>
「大変ですよね」

静岡市駿河区にある築55年の一軒家。全国に約850万戸ある「空き家」のひとつです。

<空き家買取専科 黒田淳将さん>
「(以前の持ち主は)先代の人が亡くなられて相続をしたが、ここ1~2年は空き家だった」

<篠原大和記者>
「歩いていると床がきしんで、今にも抜け落ちそうです」

人が住まなくなることで住宅は劣化が大幅に進むといわれています。結果、家の倒壊や他からのゴミの不法投棄など、様々なトラブルの原因につながります。
こうした問題を解消しようと、静岡県内でも空き家を減らすことが急がれています。

<空き家買取専科 三輪早苗さん>
「空き家だったんですけどリノベーションして、すぐ住めるようにしています」

築31年の空き家を専門の不動産会社が間取りを変えて、きれいにしました。

<空き家買取専科 三輪早苗さん>
「藤枝市が逆空き家バンクを今年度から始めました。もし、逆空き家バンクで要望として、すぐに住めて庭があって駐車場が3台から4台、そんな希望があった時にかなえられる家」

静岡県藤枝市が今年度立ち上げた「逆空き家バンク」。

「レコーディングスタジオを作りたい」「トマト作りができる一戸建ての家に住みたい」

空き家を探している人が利用のイメージや間取りなどを登録し、空き家を持っている人が希望を見て、物件を提案します。
藤枝市が間に入り、空き家のマッチングをサポートします。

<藤枝市住まい戦略課 小林亮介さん>
「そのまま放置しておけばマイナスでしかないが、移住・定住の受け皿になったり、活性化につながる施設の誘致もできる」

増え続ける空き家への対策は、自治体だけでは限界があります。藤枝市は民間との連携を強めました。

<リユースショップ>
「不用品の買取業者です」
<石材店>
「石材店です。遺品整理も担当しています」

藤枝市は建築、法律など、空き家問題のプロをサポーターとして巻き込み、官民一体で推し進めます。

静岡県内では建物の再生と人の再生を同時に行う取り組みがあります。

「リノベートジャパン」は、現在、焼津市にある廃業したビジネスホテルをゲストハウスにしようと作業を進めています。

<リノベートジャパン 甲斐隆之代表>
「一つ個室が完成することがある。それは工事が終わるまで誰も使わない空間。そこを駆け込み寺として活用する」

一般のアルバイトに加え、貧困や差別など、支援を必要とする人には住み込みで働いてもらい、次の就労先などにつなげてもらう取り組みです。
これまでに4つの空き家を再生させ、5人が生活を立て直しました。

その中の1人が焼津のホテルでも作業に加わっています。

<以前支援を受けた人>
「物理的に安心できるし、みんながいて楽しい。作り上げる一助になれたことが幸せ。助けられてますね」

この会社では改修後の建物でシェアハウスなどを運営し、収益化します。持続可能なビジネスとして成り立たせ、全国の空き家を減らしていきます。

<リノベートジャパン 甲斐隆之代表>
「この再生事業が広がっていくといいなと思っている。今後も静岡や全国で展開を進められたらと考えている」

<井手春希キャスター>
改修中の空き家などを駆け込み寺にするというのは新しい発想ですね。

<篠原大和記者>
いま物価の高騰や木材の不足などで新しく家を建てることのハードルが高まっています。空き家を活用したいとはいえ、住む場所としてはやはり、きれいでないと関心を持ってもらえないというのが実状だと感じました。行政などは今が空き家を減らすチャンスと捉えて力を入れています。

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